千年戦争アイギス Wiki

兵士

――こちらになります！
サイクロプス発見の報告があった地は！

ケイティ

案内ご苦労様です。
引き続き周囲の警戒に
当たって貰えればと思います。

兵士

はっ！

アンナ

それにしても、まさかこの地域に
サイクロプスが現れるなんて……。

ケイティ

普段は小型の魔物程度の報告しか
ない地域……それだけ魔物達の動きが
活性化してきているということなのでしょうか。

魔物

ギャギャーッ！

アンナ

どうやら魔物が現れたようですね。
王子、戦いのご準備をお願いします。

ケイティ

……この地鳴り、サイクロプスも
近づいてきているようです。
王子、ご注意ください。

兵士

報告！　サイクロプスが現れました！

ケイティ

王子、奴らの強力な攻撃にはくれぐれもご注意を。
近づかれる前に、しっかりと敵の体力を
削っておいた方が良いかと思われます。

バシラ

……となると私達の出番ですね！
バシバシ射抜いちゃいますので
ドーンと任せてください！　行きますよー！

アンナ

無事に魔物達は退けたようですね。
お疲れ様で――

兵士

――別の部隊より伝令！
サイクロプス達が群れを成し、
北の砂漠を進行中との事です！

バシラ

そんなぁ〜。ようやく
一息つけると思ったのに〜……。

アンナ

しかし放置している訳にはいきません。
王子、急ぎ報告のあった地へと向かいましょう！

モーティマ

うへぇ……結構な数お出ましじゃねーか。
何食ったらあんだけでっかくなれんだろうな。

アンナ

モーティマさん、まずは
戦闘の準備をお願いします。

モーティマ

わ、わーってるっての！

ヴァレリー

……なんだか妙だね。

ケイティ

ヴァレリーさん、何か気になる事でも？

ヴァレリー

うん。サイクロプスは個体がそう多くないし、
自分達の住処を大きく離れるような事は
本来あまりしないものなんだ。

だというのに、彼らは群れを成し移動している。
さっきのサイクロプス達もそうだけど、
皆同じ方角を目指してね。

モーティマ

おい、だらだら喋ってる場合じゃねーぞ！
奴らもうだいぶ近づいてきてんぞ！！

ヴァレリー

すまない、今は悠長に話をしている場合では
なかったね。まずは
目の前の魔物達をなんとかしようか。

アンナ

そうですね。王子、砂漠の熱で
兵の皆さんの体力が減少しています。
どうかお気をつけて。

モーティマ

――っおらぁ！

アンナ

今ので魔物達は全て討伐できたようです。

ヴァレリー

……やっぱり変だね。
サイクロプス達の動き、僕等と戦うよりも
進行を優先しているように見えた。

ケイティ

ですが、サイクロプスは好戦的で狂暴な種族、
目の前の私達を無視して移動する事なんて
有り得るのでしょうか。……この先に何かが？

アンナ

この砂漠の先には確か、
古くから続く都市国家があった筈です。

魔物への対応は自国の戦力で賄えるので、
我々の手助けは必要ないと
あまり交流はなかったのですが……。

兵士

――報告！
別方向に展開していた部隊より、
サイクロプスの群れを発見との事！

また、サイクロプスはこちらの姿を認識したものの、
進行方向を変えず、そのまま進んでいるとの事。
王国軍がこのまま進めば敵群と接触します！

アンナ

ご報告ありがとうございます。
やはり、サイクロプス達は
この先を目指し進軍しているようですね。

ケイティ

敵の狙いは未だ不明……とは言え、
都市の方々に魔物が近づいている事は
伝えた方が良いかもしれません。

アンナ

はい。王子、ひとまずは都市に向かい、
魔物が接近していることを報せましょう。

アンナ

――これは……立派な城壁ですね。

ケイティ

これほどの城壁を築く軍備、
我々の手助けが必要ないと言うには
充分な説得力を感じます。

ソーマ

ここに来る途中、遠方に巨人の群れらしき
複数の敵影が見えました。
やはりこの街めがけて進軍しているようです……。

アンナ

急ぎ街の方々に、
敵が迫っていることを伝えましょう！

？？？

……あなた達、だれ？

ケイティ

その武装……良かった。
城壁の警備の方でしょうか？

？？？

……そう、エレーヌ。一応、
城壁の警備を指揮している兵長。
……あなた達は？

アンナ

申し遅れました、私達は王国の者です。
私は政務官のアンナ、
こちらは王子になります。

王子

…………。（ペコリ）

エレーヌ

王国……聞いた事はあるけど……。
それで、どうかしたの？
この国に何か用事……？

アンナ

すみませんエレーヌさん、至急ではあるのですが
この国を治める方に取り次いで
頂けないでしょうか。実は――

ソーマ

――皆さん気を付けてください！
サイクロプスの群れが近づいています！
まもなく視認できる距離かと！

エレーヌ

なに、あれ……すごい……おっきい……。

アンナ

思ったより進軍が早かったようですね……。
エレーヌさん、あちらだけでなく
複数の方向からも敵が迫ってきている様です。

エレーヌ

そういうこと……ありがとう、報せてくれて。
各方面に、警備を強化するよう伝えてくる。

アンナ

よろしくお願いします。
私達も微力ではありますが、
防衛に協力させて頂きます。

？？？

――都市の守備は健在か。
我らが眠りにつく前と依然変わらず
忌々しい城壁よ。

アンナ

……！？　あのサイクロプス、
他のサイクロプスよりも一回り大きい……
……それに今、人間の言葉を喋ったような！？

ギガース

ふん、知性の低いサイクロプスの連中と
一緒にするな。我らは巨人族の中でも
高位に位置する巨人、ギガース族。

千年戦争の折、剣の力で封じられてしまったが……
……我らが目覚めたと言う事は、剣の力が弱まっている
と言う事。折角の好機、この都市もろとも滅ぼしてくれる。

ギガース

――流石に一筋縄ではいかぬか。
各地の巨人族も順調に集まっている、
次はもっと大勢で攻め滅ぼしてくれよう。

ソーマ

巨人達が退いていきます！

ケイティ

あの巨人……ギガースでしたか。
まさか巨人の中に、会話が出来る者が
いるとは思いもしませんでした。

アンナ

はい。それにあの口ぶり、近いうちに
また襲撃がありそうです。
しばらくは警戒が必要そうですね。

エレーヌ

――……王子、みんな、ありがとう。

アンナ

エレーヌさん。良かった、
ご無事で何よりです。

エレーヌ

……あなた達のお陰。
別の方向から来てた巨人も、もう撤退した。

ケイティ

あの……この街には巨人達が目指す
何かがあるのでしょうか？

エレーヌ

……言い伝えがある。
巨人族との戦いについての古い伝承……。

アンナ

もしよろしければ、その伝承について
聞かせて貰ってもよろしいでしょうか？

エレーヌ

……わかった。
でもその前に、皆疲れてるでしょ。
落ち着いて話せる所に行こう。

エレーヌ

……さっきはありがとう。
それと……私、エレーヌ。
改めてよろしく、王子。

この街の伝承……古い……千年前の
戦争の頃からの……古い言い伝え。

この辺り……昔は巨人が多かった。
その中でも強大な力と知性を備え、巨人達を
指揮していたのが古の巨人……ギガース族。

この街の城壁、巨人の侵攻を阻止するために
作られた城壁で……昔は街だけじゃなく、
大陸を横断する程の広さだったんだって。

けど、この街の戦士がギガース族の長を
打ち倒し、その長の骨から作られた剣で、
ギガース族や他の巨人達を封印した。

巨人達がいなくなってからは、大きな砦も
必要なくなったから、都市を守る部分だけ残して、
残りの城壁は取り払われたって話。

王子達の前に現れた巨人……本当に
ギガースなら、きっと剣の力が弱まってる。

もしそうなら……なんとかしなきゃ。
奴ら、剣を破壊して全ての巨人族の
封印を解くつもり……だと思う。

街の城壁、ちょっとやそっとじゃ壊れないけど
……でも、きっと昔程頑丈でもない。
修繕中の箇所も幾つかある。

もしあの規模での襲撃が今後も続いたら、
流石に厳しいかも…………うん？
何だか、外が騒がしいみたいだけど――

ケイティ

――お話中の所失礼します。
すみません、速やかに
ご報告せねばならぬ事項がありまして。

まずは簡易ではありますが、
この国近辺での戦闘行為を
許諾頂く協定が先ほど結ばれました。

我々がこの国の防衛に対して協力することも、
ひとまず問題ないかと思います。
こちらは良い報告です。

……それともう一つ、
こちらはあまり良くない報告になります。

先ほどの巨人、ギガースが再び街へ
接近を試みているとの連絡がありました。
また複数のギガースらしき姿も見られるようです。

先遣の部隊だけでは敵を
抑えきれず、
敵は目前に迫っているとの事。

協定はつい先ほど結ばれたばかりですが、
王子、いかがいたしましょうか？

……失礼、愚問でしたね。
城壁が破壊されては街が大変な事になります。
そうなる前に、急ぎ救援へと向かいましょう！

バシラ

こんなに早く次が攻めて来るなんて。
これじゃ休む暇もありませんよ〜……。

ギガース

――さぁ同胞達よ！
我らギガース族の雪辱、
今こそ果たそうぞ！！

モーティマ

連中、随分と気合が入ってやがんな。

ケイティ

あの数の巨人……それだけ
本気と言う事でしょう。ここが正念場です。

エレーヌ

……皆ありがとう。
私達の国の事なのに、協力してくれて。

アンナ

お気になさらないでください。
困ったときはお互い様ですよ！

王子、決して気が抜けない戦いです。
全力で迎え撃ちましょう！

ギガース

――ぐ、ぐわあああぁぁぁああぁぁッ！

アンナ

やった！　やりましたよ！
ギガース達を倒しましたよ、エレーヌさん！

エレーヌ

……流石にあの量、私達だけじゃ危なかった。
皆がいてくれて助かった……これで街も――

ギガース

――ぐぅっ……く、くくくっ！
くははははっ！
ぐふっ！　げふぉぁっ！！

ケイティ

……っ！　何が可笑しい！！

ギガース

……く、くくく……我らは所詮……陽動……。
今頃本隊が……壁の最も弱い所を……
………………。

エレーヌ

…………壁の弱い所……
まさか……ここと真逆の……っ！

アンナ

……エレーヌさん、すみませんが
案内をお願いできますでしょうか。
王子、急いで向かいましょう！

アンナ

この辺りでしょうか。
巨人の報告があったのは。

ニエル

報告ではこの辺りみたいだけど。
……上空から見回してみた限りじゃ、
巨人の姿は見当たらなかったよ。

モーティマ

あんだけでけぇ連中、いれば
すぐ判りそうなもんだしなぁ
既に移動しちまったんじゃねーか。

アンナ

そうかもしれませんね。
……！　皆さん、あちらを！

ケラウノス

――全く、このような所にまで来るとは。
ここは神聖なる神の領域、お前達人間が
土足で踏み入ってよい場所ではありませんよ。

ニエル

……ケラウノス様！

ケラウノス

粗暴な巨人族の連中が復活したようなので、
物質界に降りてみましたが……巨人族より先に、
まずは貴方達の戦力でも削っておきましょうか。

来なさい、荘厳なる神のしもべ達よ。

モーティマ

げ、げげぇっ！？　巨人族！？

ケイティ

あれは……巨人族とケラウノスが
手を組んだという事でしょうか。

ニエル

……いや、あれは巨人族なんかじゃないよ。

ケラウノス

ふふ。これは神の創造物が一つ、天使像。
地上を滅ぼすための破壊の権化。巨人族と
同列に語るとは、本当に愚かな者達ですね。

モーティマ

けっ、どっちにしろぶっ倒さなきゃ
いけねー事には代わりねーんだろ！

ケラウノス

抵抗をやめてしまえば、楽に滅ぼしてあげますよ。
……まぁ、貴方達には幾ら説いても無駄でしょうが。
さぁ、愚かな人間達に裁きを与えるのです。

ケイティ

やはり……戦うしかないようですね！

ニエル

みんな、天使像は巨人達にも劣らない
強力な攻撃力を持っている。気を付けて。

それに、剣や矢の攻撃程度じゃ
傷をつけるのも難しい。
魔法での攻撃を心掛けた方が良いと思うよ！

アンナ

ニエルさん、ありがとうございます。
王子、適切なご指示をお願いします。
どうかお気をつけて。

モーティマ

ぜぇ……ぜぇ……な、なんでぇ！
全然、大したこと、ねぇじゃ、ねぇかっ！！

ケイティ

何とか、敵は退ける事が出来たようですね……。

アンナ

皆さんご無事で何よりです。
……それにしても、ケラウノス様はこの場で
一体何をしていたのでしょうか。

ニエル

多分、天使像を呼び出す
準備をしていたんじゃないかな。

この場所……昔は天使の降臨の儀に
使われていたんだと思う。だいぶ昔の建造物だけど、
まだ微かにその力が残っていたのかもしれない。

ケイティ

その力を利用し、
天使像を沢山呼び出したと……。

ニエル

うん。巨人族と天界は、
昔から敵対していたから。彼らと戦う
戦力にしようとしてたんじゃないかな。

ケイティ

敵の敵は味方……とは
なってくれそうにはないですね。

アンナ

そうですね……巨人族に天使像。
また新たな脅威が増えたようにも思えますが……

……ですが、私達は負ける訳にはいきません。
王子、今は休み今後の戦いに備えましょう！

エレーヌ

――……急いで、こっち。
街中を走るより、ここを通った方が早い。

ケイティ

まさか街の地下にこのような道があったとは。

エレーヌ

……伝承にあった剣、ここで保管してる。
……あれがその剣。この国の兵達の剣は、
あれを模して作ってる。

ロイ

なるほど……ふむ、
特に魔力等は感じませぬな。
あの剣に何か特殊な力が？

エレーヌ

知らない……そういう伝承があるだけ。
使われた事なんて、一度もない。

……昔は色々研究したりもしてた。
でも、結局はただの剣でしかないって。
今では研究する人もいなくなって、放置されてる。

アンナ

巨人達に対する切り札になるかもと
思いましたが……残念ですね。

天使

――見つけた。
あの剣、間違いないようですね。

アンナ

……あれは！

天使

人間達よ、そこを退きなさい。
我らが神に、その剣を献上するのです。

ニエル

……狙いはこの剣のようだね。

ケイティ

天使が欲するとは、やはりこの剣には、
何らかの力があるのでしょうか……。

エレーヌ

……力があってもなくても、
この剣は私の国にとって大事なもの。
やすやすなんて、渡せない。

天使

神の意思に逆らうとは、愚かな人間達です。
退かぬというなら仕方ありません。
その身を以て、神の裁きを知ると良い。

アンナ

剣を奪われる訳には参りません。
王子、迎撃の準備をお願いします！

ケイティ

――天使達は全て撤退したようです。

ロイ

……戦闘の最中であれば、何かしら
反応があるのではと思っておりましたが……
特に何の変化も見られませんでしたな。

エレーヌ

色々試したって聞いてる。
煮たり、焼いたり、食べ……てはないけど。
でも、何の成果も得られなかった。

アンナ

そうですか……いえ、ここで
落ち込んでいる場合ではありませんね。

こうしている間にも街に危機が迫っています。
王子、巨人達のもとへと急ぎましょう！

エレーヌ

――そ、そんな………っ！

ケイティ

これほどまでに破壊されているとは。
だいぶ脆くなった場所を
狙われてしまったようですね。

城塞都市兵士

……う……ぐ…………っ！

き……気を付けろ……きょ、巨人が……
お……大岩を……投げ……て………うっ！

アリサ

喋らないでください！
今、治療しますので！！

ギガース

――我らを阻む忌々しき壁は破壊した。
さぁゆくがいい、サイクロプス達よ！

エレーヌ

……っ！　す、凄い量……怖い……。
あんなの、とても耐えきれない……。
……この街は……もう……。

アンナ

王子、巨人達がなだれ込んできます！
確かに危機的な状況です。撤退という事も
考えられますが……如何致しましょうか。

王子

…………！

エレーヌ

どうして剣を……ッ！？
もしかして、戦う気なの！！

アンナ

……そうですよね、王子。王子なら
この街を見捨てて逃げるような事はないと、
そう思っておりました。

エレーヌさん。私達の力で守り切れるかは
判りません……ですが、
やれるだけの事はやってみます！

エレーヌ

みんな……そっか……ううん、そうだよね。
ここで逃げ出しちゃったら、街の皆が……。

アンナ

エレーヌさん……？

エレーヌ

……ごめん、みんな。
少しだけ、ここをお願い。
すぐに……戻ってくるから……！

モーティマ

お、おい！　……行っちまいやがった。
まさか逃げ出したんじゃねーだろうな！

アンナ

……いえ、きっと何か考えがあるのだと思います。
今は彼女を信じ、なんとしてもこの場を死守しましょう。
王子、戦闘の指示をお願いします！

『進撃する巨人達』に登場する
岩を投げるギガースは拠点に
向かわず、しばらくすると
戦場からいなくなります。

倒さなくても★の評価には
影響しません。

ギガース

――奴らの戦力もだいぶ削れたようだな。
今こそあの忌々しい封印剣もろとも、
この国を滅ぼす時だ……。

……さぁ、進撃せよ同胞達！
我らを恐れ鳥カゴへと逃げ隠れた人間共に、
巨人族の恐怖を思い出させてやれ！！

ケイティ

……どうやら本格的な侵攻が
開始されたようですね……。

モーティマ

おいおい、このままじゃマジでやべーぞ。

アンナ

……王子、如何致しましょうか。

王子

…………。（ふるふる）

アンナ

……そうですね。ここを放棄すれば、
街の人々が逃げる時間もなくなります。
それに、エレーヌさんがきっとここに戻ってきます！

ケイティ

彼女を一人で戦わせてしまう訳には参りませんね。
……怪我をしている者には一旦後退、戦える者には
引き続き防衛に努めるよう通達をお願いします！！

兵士

はっ！

アンナ

王子、今は彼女を信じ
この場を守り抜きましょう！

ケイティ

くっ！　ギガース達が街の中へ。
このままでは……！

エレーヌ

――……ごめん、お待たせ。
それと、ありがとう。
おかげで間に合った。

アンナ

エレーヌさん！

エレーヌ

保管してあった剣、持って来た。
天使も、巨人もこの剣を恐れてた……。
これがあればきっと……。

ギガース

そ、それは、封印剣……っ！！

……む……だが力を引き出せておらぬ様だな。
驚かせよって……。
剣を持つ手も震えておるぞ、人間よ。

エレーヌ

……そんな……この剣なら
何とかしてくれるって、
そう思ったのに……。

ギガース

無駄だ、我らが長の力は何者をも恐れぬ
勇猛なる闘志。剣の力に頼ろう等と弱き意志に、
長の力が応えるはずがない！

エレーヌ

…………！

モーティマ

おい！　当てが外れちまったんじゃ
しょうがねぇ、ここは一旦……

エレーヌ

……だめ！　……ここで退いたら、
街は大変な事になる。逃げるなんて、絶対にだめ。
…………そうだ、すっかり忘れちゃってた。

私は、この国を守る戦士なんだ……。
私は、この国に心臓を捧げたんだ……！
剣の力なんて、なくたって……！！

アンナ

……！　剣が、光を放って……！

ギガース

……ぬぅ！？　力が……体力が奪われる……。
ば、ばかな、剣が奴を認めたというのか！
皆の者、急ぎあの剣を破壊しろ！

ケイティ

王子、剣の力がギガースに効いている様です！

エレーヌ

この街をこんな風にしたあいつ等を、
許してなんておけない……あんな奴ら、
私が……一人残らず……

アンナ

エレーヌさん、決して一人ではありません！
その剣の力と私達の力、皆で協力し
この場を守り抜きましょう！！

エレーヌ

……うん、そうだね。
剣の力の使い時、王子に任せる。
……王子、指示をお願い！！

ギガース

ぐ、ぐおぉ……っ！　剣の力がある以上、
不用意に攻め入る訳にはいかぬか……。
仕方ない、ここは退くぞ！！

ケイティ

……巨人達は撤退したようですね。
お陰で窮地を脱する事が出来ました。
ありがとうございます、エレーヌさん。

エレーヌ

……こっちこそ、ありがとう。
みんながいたから、街を守れた。

アンナ

そんな、頭を上げてください。
協定を結んだ国同士、
助け合うのは当然の事です！

エレーヌ

……ううん。王国との交流を
拒んでいた私達を助けてくれたこと、
本当に感謝しなくちゃ……。

……この壁がある限り、私達に危険はないって、
そう思ってた。壁の外に行くより、中で暮らしてた方が
安全だって……でも、思い違いだったみたい。

アンナ

エレーヌさん……。

エレーヌ

……都合の良い話だけど、
今後は王国の人と協力していくよう、
私の方からも掛け合ってみる。

助けられるだけじゃなくて、助ける側として。
今度は私達もちゃんと力を貸すようにって。

ケイティ

この国の力を借りられるのであれば、
これほど心強いものはありませんね。

アンナ

はい！　エレーヌさん、
その時は是非よろしくお願いしますね！

エレーヌ

……ん、よろしく。

アンナ

王子、此度の激戦お疲れ様でした。
今は戻りゆっくりとお休みになってください。

イロハ

――遅くなってすみません！
救援に来ました！

サノスケ

イロハ殿、それに王国の方々も！
ご尽力感謝致します！

コジュウロウ

感謝されるにはまだ早いかと。
妖の群れはすぐそこに
迫ってきてるでござる！

シノ

何故妖怪達が都と襲撃など……いや、
今は考え事をしている場合ではないか。

アンナ

王子、戦闘のご準備をお願いします！

妖天君

――全く、君達はどうしてボクの
邪魔ばかりするのかネェ。

アンナ

あれは鬼門……それに妖天君！

イロハ

あれが話に聞く……まだこの国の支配を
諦めていなかったのですか！

妖天君

そう簡単に諦めるわけにはいかないヨ。
酒呑童子がいないこの千載一遇のチャンス、
逃す訳にはいかないからネェ。

さぁお前達、あの連中を
やってしまうといいヨ！

？？？

…………。

妖天君

強力な雷を操る妖怪の娘だヨ！
雷に打たれて
焼き焦げてしまうといいネェ！

イロハ

あの様子……どうやら妖天君に
操られた方々がいるようですね。
王子、どうかお気を付けください！

イロハ

……！　妖天君、また鬼門の中へ……！！

コジュウロウ

……妖の追撃はないようでござる。
どうやら、妖天君も逃げたようでござるな。

？？？

うーん……う……ん？
あ、あれ？　ここは……？

シノ

気が付いたか。もしやとは思ったが、
お前、雷神様の娘のラミィであろう。

イロハ

（雷神の娘……！？）

ラミィ

うん、そうだけど……あれ？
もしかして、シノねーちゃん？　てことは、
一緒にいる人達は……まさか、王子軍！？

アンナ

はい、そうですが？

ラミィ

ってことはとーちゃんの言ってた敵じゃないか！
敵に助けられちゃうなんて、とーちゃんに
また雷落とされる〜……うぅ〜……。

シノ

……助けて貰った者達に対し、
そのような態度は看過できん。ラミィよ、
まず先に言うべき事があるのではないか？

ラミィ

え？　あ、そ、そっか、そうだよね！
えっと……助けてくれてありがと！
それと、敵とか言っちゃってごめんなさい！

イロハ

…………。

ラミィ

や、やっぱり怒ってるよね……
で、でもとーちゃんから人間は敵だって
聞いてるし……ど、どうしよぅ……。

シノ

……ラミィ、ここはひとまず帰れ。
また後日、礼にでも来ると良い。

ラミィ

う、うん、判った、そうするよ。
……それじゃ皆ばいばい、またね〜！

シノ

行ったか……雷神様がこの地で
やった所業については存じています。ですが、
彼女は戦いには参加していないと聞いています。

イロハ

……彼女がそのような行いを
するような娘でない事は、見ていて判りました。

……ですが、雷神の娘と聞くと、
そう簡単には受け入れる事は
難しいものですね……。

シノ

……私が総大将となった今、
二度とあのような事はさせないと
重く受け止めておきます。

イロハ

シノさん……はい、
どうかよろしくお願いします。