千年戦争アイギス Wiki

風神

面白いのう、侍というものは。
姫を人質にしただけで、亡者となり使役されることを
簡単に受け入れるとは。 ゲハハハハハ！

シズカ

おのれ、下郎め！
私の家臣たちを……！

風神

姫も姫よ。そうやって牢獄の中から
睨むのが精一杯とは滑稽よのう。

それとも舌を噛んで自決するか？
いや、侍は腹を斬るのだったのう。
それも刀を奪った今ではできぬか。ゲハハ！

シズカ

……。
刀を持たずとも、私は侍なの！

だから、私はけっして負けない。
この国の侍である限り絶対に……！
そう、皆と約束したもの！

風神

心配せずともこの国の民を皆殺しにしたあとで、
最後に殺してやろう。

それまで心が耐えられればよいがのう。
ゲハハハ！

サイゾウ

（……シズカ様！　ようやく見つけましたが、
まさか風神がこんなことを？）

（なんとか隙を見て、シズカ様を
脱出させられればよいのだが……）

風神

さて、しかし。
どうやらネズミが一匹、紛れ込んでいるようだのう。
……ほれっ！

サイゾウ

うわーーーー！　風が！？

だ、駄目だ！　勝てない。拙者一人では……！
誰か、誰か手を貸してくれる者は……！

カグヤ

これで、亡者どもは最後かの……！
すまぬ。助けられなくて！

落ち武者

ああ……あああ。
姫、様……。

カグヤ

わかっておる。あの、城の中に囚われておるのだな？
わたしや王子が必ずや、シズカを救ってみせようぞ。
約束する！

落ち武者

おお、おおお。
感、謝、する……。

よか、った。
我らが、あなた方を、倒せ……なく、て。

あり、がと、う。
我らを……殺して、くれ、て……。
もう、苦しまなくて……済、む……！

アンナ

！
そんな……感謝、なんて……。

私たちには、なにもできなかったのに……！

カズハ

そんなことはございません。
皆の魂だけは、救われたのです。

このカズハも、皆にかわり礼を申し上げます。
まことにありがとうございました。

ヒカゲ

ですが、まだ終わってはいませんわ。
囚われたシズカ様のいる、城へと向かいませんと。

セシリー

城とは、あの積まれた石の上にそびえる
白い建物のことか。　なかなか立派だな。

だが、大きいぶん潜入はしやすそうだ。
なんなら自分が様子を探ってくるぞ。
……どうする、王子？

アンナ

！？
待ってください、城から……
なにかがこっちに飛んで？

あ、あれは、敵！？　……ま、魔物です！！

風神

まったく、ネズミといい……
お前たちといい、面白くないのう。
わしの亡者たちを倒しおって。

カズハ

そんな！　な、なんということでしょう！！
まさか……侍たちの命を奪い、操っていた
物の怪とは、風神！？

カグヤ

なに？　風神とは西の京にも名を轟かせる、
高名な物の怪だぞ？
それが、シズカをさらった張本人かの！？

風神

おう。その風神様がやったのよ。
この都を好き放題にのう。ゲハハハ！

しかし、やれやれだのう。
わしの手駒がなくなるとは。

これではまた毒でもまき、日和見を決め込む
低脳な物の怪を狂わせて、
亡者をつくらねばならぬではないか。

カグヤ

なに？
では池の泥田坊を暴れさせたのは、そなたの
仕業だったのか！

風神

ああ、そうだのう。それよりも、
お前たちを亡者にする方が早そうだのう！
ゲハハハハ！

風神

……ゲハァッ！！
おのれ、おのれ！

神に傷を付けるとは……次は許さぬ！
絶対にのう！！

カグヤ

なにが神だ。
人にアダなす魔物に堕ちた存在など、
こちらから願い下げというものぞ。まったく……。

アンナ

なにはともあれ、これでようやく都にいた魔物たちを
せん滅できたようですね。
あっ、あれは！？

サイゾウ

シズカ様、こちらでございます。
あの風神を追い払ったのは彼らのようです。

シズカ

ありがとう、サイゾウ。
……あれっ？
カグヤ？　カグヤ、なの？

カグヤ

シズカ！
無事であったか！

シズカ

ええ！　あなたたちに助けられたようね……。
でもまさか、嫁ぎに出たカグヤとまた会えるだなんて。

それに、王子。
このたびはありがとうございました。感謝するわ。

アンナ

いえ、私たちは当然のことをしたまでです。

それより……こんな立派な都が、
廃都になってしまうなんて。

シズカ

私は侍たちの姫だから。
まずはこの都を立て直さねばならないわ。

大丈夫。侍たちは弱くないもの。
無事に生き延びた者たちもきっと大勢いるわ。

風神がいなくなったのを知れば、
また都に戻ってくるはず。

カグヤ

うむ！　ならばわたしも復興までの間、
ここに残るとしよう。

カグヤ

案ずるな王子。
この国が復興したらすぐに追いつくからの。

王子

……わかった。

アンナ

一刻も早い復興と、帰還をお待ちしております、
カグヤ様。

カグヤ

うむ！

アンナ

それにしても……人と共存していた、
神と崇められる魔物までもが、
人を襲うようになるなんて。

魔物たちの活動が、
いっそう活発化しているのでしょうか……？