アンナ
王子、報告のあった砦はこの辺りです。 複数の魔物を発見したとのことですが……。
フーリ
あれ……？ 砦の上に誰かいるような……。
ケイティ
もしや、魔物に追われて、 砦に逃げ込んだのでしょうか……？
ソーマ
大変！ 早く助けてあげないと！
ヴィンセント
いや、逃げ込んだというわけではなさそうだ。 あのクロスボウには見覚えがある。 確か、相当な腕利きだったはずだ。 この程度の魔物に動じる者ではないはずだが……。
？？？
（……あれが『この子』の言う協力者候補？ 軍と言うより、寄せ集めの集団に見えるけど……） （……えぇ、分かってる。 あれくらいの魔物では腕試しにもならないものね） （もし隙を見せたら射掛けてやるわ。 真の実力を知らなければ意味がないのだから）
とはいえ、今は魔物の討伐が先決です。 王子、指揮をお願いします！
なるほど……それなりの実力はあるようね。 『この子』の見込み違いではなかったみたい。 なら、私が相手をするわ！
くっ……やるわね。予想以上だったわ……。
いったい何者なのですか。 魔物の味方というわけではなさそうですが……。
待て、ケイティ。 ようやく思い出したぞ。 その異型のクロスボウ。 お前があの『凶鳥の射手』だな……？
きょうちょうの、しゃしゅ……？ って、『凶鳥の射手』ですか！ 私も、噂話なら聞いたことがあります。
ヴィンセントさん達はご存知なのですか？
ああ。同業では有名な狩人だ。 誰とも手を組まず、アンデッドを狩る娘だとな。
……そっか、同業者がいたってわけね。
ヒューナ
試すような真似をして悪かったわ。 私はヒューナ。『この子』に言われて、 貴方達の実力を試しにきたの。
この、子……？ あの……。 ヒューナさんしか居ないみたいですけど……？
ほら、『この子』よ。このクロスボウ。 王子たちと戦ったのも『この子』に関係する事なの。 良かったら話を聞いてくれないかしら……？
事情があるみたいですね。 王子、詳しく話を聞かせてもらいましょう。
さっきは悪かったわ。 試すような真似をしてしまって……。 改めて自己紹介するわ。私はヒューナ。 あの吸血鬼狩りのおじさんが言ってたように、 同業からは『凶鳥の射手』って呼ばれてるらしいわ。 それから、このクロスボウ……『この子』が、私の相棒。 お察しのとおり、意志ある武器よ。 声は私にしか聴こえないけど、ね。 －－さっそくだけど、王子、 貴方達の力を貸してほしいの。 魔物が以前より力を付けてきているのは、 貴方たちも知っている事だと思う。 魔に類する者を全て狩る為には、 私はもっと、強くならなくちゃいけない……。 そう思っていた時に、 『この子』がこう言ってきたの。 「我が試練を乗り越えよ。 その暁には、我が真なる力を解放しよう」って。 本当は私一人で試練に挑むつもりだったのだけど……。 試練には条件があるみたいなの。 「互いを支え合い、仲間と共に進むこと」 それが試練を突破するための必須条件だって、 『この子』は言っているのよ。 でも試練は命がけのもの……。 半端な連中を連れて行って、 死んじゃったりしたら寝覚めが悪いでしょ？ その点、王子達の実力は本物だった。 貴方たちが良ければ、一緒に来てくれないかしら……？ もちろん報酬があるって『この子』が言ってるわ。 私には「クロスボウの真なる力の解放」。 そして同行者である貴方達には、 「世界で最も美しき力」が与えられる……らしいわ。 …………えっ？ そ、そう。ありがとう。 こんな怪しい話に二つ返事で頷くなんて、 人がいいのか器が大きいのか……。 ともかく、短い間だけどよろしくね。
未編集
ナタク
－－金光聖菩、約束通り王子を連れてきたんだ。 無闇に人を襲うのはやめてもらおうか。
金光聖菩
人聞きの悪い事を言うな。 私はこの地を通る武芸者たちと、 双方合意の上で戦っていただけだ。
それをやめろと言っているんだ。 誇り高い武芸者たちが、 勝負の申し出を断れないのをいいことに……。
ならば、まずは王子を渡してもらおう。 そうすればやめる、という約束だったはずだ。
王子
…………。
王子……会いたかったぞ。 邪仙郷を抜けてからというもの、 毎晩お前のことばかり考えていた。 行く当てもなく、こうして手当たり次第に 武芸者どもと戦っていたが、どうも物足りぬ。 道を極めるには、やはりお前の如き強者と戦わねばな。 だから、王子……私のものになれ。 そして毎日互いに高め合おうではないか。
勝手な事を言わないでください！
太公望
……金光聖菩、貴方の言い分は判りました。 ですが、我々もタダで王子を渡すわけには参りません。 ここはひとつ、敗者が勝者の言い分を なんでもひとつ聞くというのは如何でしょう？ 我々に勝つ自信が貴方にあれば、の話ですが。
…………（こくり）
そうかそうか……ふふふ。 私がお前たちに勝てば、 王子を私の好きにしていい、というのだな？
ちょっ……太公望さん！ どうしてあんな条件を？
ここで彼女を退けても、根本的な解決にはなりません。 それならば、彼女の求道者としての誇りに賭け、 約束を取り付けた方が事態の解決に繋がるかと。 －－我々が勝利した場合、今後は一切人を襲わないこと。 以上の条件を呑みますか、金光聖菩？
もちろんだとも。 あぁ、王子……もう待ちきれぬ。 悪いが全力で行かせてもらうぞ！
金光聖菩は己の能力を高める分身を作り出す宝貝、 金光陣を駆使してくると思われます。 乱戦は必至ですので、敵の数に押し負けぬようご注意を。
前方の魔物たちもこちらに向かってくるようですね……。 王子、迎撃のご準備を！ こうなったからには、絶対に勝ちましょう！
はぁ……はぁッ……ふふっ。 これだ、これぞ私が求めていた戦い！ 血が沸き立つような、この高揚感！ 最高だ……斯様な死地においてこそ、 己の限界という殻も破れようというもの！
そ、そんな……！ 追い詰められているはずなのに、 ここでまたヤツの気が増大するなんて……！
……自らの限界を超えたというのでしょうか。 皆さん、警戒を強めてください！ 金光聖菩は 今までよりさらに強大な力を手にしたようです！
ふふふ……待っていろ、王子。 必ずやお前を我がものにしてみせる！
はぁ、はぁっ……ははは。 まさか、己の限界を超えても敵わぬとはな……。
……戦いの最中でさえ強くなってみせた、 貴方のほうが驚きですよ、金光聖菩。
でも、負けは負けだ。 今後は人を襲わないっていう約束は守ってもらうよ。
うむ、約束しよう。 王子の本気を知ってしまった以上、 どのみち今後は並の相手では満足できぬからな。
王子……。 どうしてお前はそんなに強いのだ？
……王子と私たちは、 復活した魔物の脅威から世界を救うために 様々な強敵たちと戦ってきました。 そして、その戦いは今後も続くのです。 人々に仇なす存在を退け、 この地上に平和がもたらされるまでは。
ふふふ……そうかそうか。 それはなかなか面白そうだな。
……考え込んでしまったね。 彼女が何を考えているかは分からないけど、 これで武芸者が襲われる事は無くなるかな？
元邪仙とは言え、彼女は約束を守る方に見受けられます。 大丈夫ではないでしょうか。
それでは、王子たちを王国へとお送りしましょう。 王子、この度の戦い、お疲れさまでした。
……なるほど、そうであったか。 王子らは私がまだ見ぬ強者たちと いつ果てるとも知れぬ戦いを繰り広げていたのだな。 ふふふ……ますます興味が湧いたぞ、王子。 お前はいずれ必ず、私のものにしてやる。
