ツバサ
殿ぉー! ねぇ見て見てぇ! ツバサの時空転移術で 悪い兜たちがいるって報告のあった摂津国に到着したよ!
殿
…………?
え? 此処は摂津国には見えない? ……た、確かに! それに、さっきまで一緒にいたはずの 城娘のおねえちゃん達ともはぐれちゃってるし……。 どうしよう、殿……。 ツバサ、また転移術に失敗しちゃったみたいだよぉ!?
???
--失敗? トンデモナイ。 貴方は単純な空間移動デハナク、世界という枠組すら越え、 斯様な異世界へと繋がる扉を開いてシマッタのですから。
…………!?
あれは、明智光秀の名を冠する巨大兜!? ま、マズいよ殿……! 城娘のおねえちゃん達がいないんじゃ勝てっこないよ!
…………!
明智光秀
フッ……勝テヌと理解シテいながら立ち向かうトハ……。 ナラバ此方も遠慮無く攻め込ませて頂きましょうかッ!
あわわわっ!? か、兜たちが攻め込んでくるよぉー!! このままじゃ殿が殺されちゃう……! 誰か、誰か助けてーっ!!
ケイティ
--なッ!? あ、あれは……兜ッ!? それに彼処で応戦している方達の風変わりな出で立ち……、 もしや、千狐さんの世界の住人なのではないでしょうか!?
アンナ
いずれにせよ、すぐに救出に向かいましょう! 王子、戦いの準備をお願い致します!
クッ……ナカナカやりますね……。 ならば此方も全力ヲ出サセテいただきましょうか。
千狐
--そこまでですわ、巨大兜! これ以上、此の世界で好き勝手なことはさせません!
あ、あれは……千狐さん!?
千狐おねえちゃーんっ! よかった、助けに来てくれたんだね!
やくも
だにぃ! うちもいるってことを忘れんでほしーがやぁっ! 殿さーんっ! えっぱい城娘を連れて助けに来ただにぃ!
安土城
失踪したツバサの霊力を突き止めた千狐と共に 時空転移術によって移動してきたわけだが……ふふっ。 まさか異世界に辿り着くとは……是非も無い。
主ノ為にためらい無く世界ヲ飛び越えてくるトハ……。 ……流石ハ殿の従者達と言ったトコロでしょうか。 此の状況デハ退く以外に手は無さそうデスネ……。 殿……いずれ、決着をツケましょう。 無論……我々ノ在るべき世界デ……----。
兜達の撤退を確認……。 王子、どうやら危機は去ったようですね!
ありがとうございます、王子! 我々の主である殿の窮地を救ってくださったこと、 感謝の言葉もありませんわ。
それじゃあ、そろそろツバサたちは 自分たちの世界に帰らなくっちゃだね!
えーっ!? アンナ達と再会できたってのに勿体ないがや! それにうちは前に、今度会う時は美味しいもん食べながら、 ゆっくり話をしようって、王子達と約束してただにぃ~!!
--コンッ! やくも、少しは自重するの! 王子やアンナさんたちに失礼でしょっ!!
いいんですよ、千狐さん。 こうして再会を果たせたのも何かの縁です。 皆さんの都合が良ければ、食事会などいかがでしょうか?
それでは、安全な場所へと移動しましょうか、王子。 殿や城娘の皆さんとの食事会、楽しみですね!
……王子。 此度の餐応に対し改めて礼を言うぞ。異世界の者達との 会食ということもあってか、我が主も殊に喜んでいるようだ。
指月伏見城
むふふ♪ それに此方の食事はなかなかに美味ゆえ、 甘味を制覇するまでは元の世界に戻りたくないくらいじゃ。 ……というか、正直こっから帰るのめんどくさいのじゃ。
名古屋城
--え!? 指月伏見城さん! 私たちの世界に帰らないつもりなのですか!?
そうじゃなぁ……アンナたちは美しい上に優しそうじゃし、 妾を三食昼寝つきで超絶甘やかすと約束してくれるなら、 此の世界に永住するのもアリなのじゃ~♪
紫禁城
馬鹿なこと言うでない、指月伏見城。 ぐーたらな其方であろうと大事な戦力ゆえ、 勝手に我らから離れるなぞ許さぬからな。
首里城
そーだよー。こくおーを悪者たちから守るのに、 指月伏見城ちゃんがいなくなったらスイたち困るよー。
またそうやって、妾を働かそうとして……。 そんなに戦力が欲しいなら王子軍の 強き仲間たちを連れて行けばいいじゃろう?
彦根城
こほっ、こほっ……確かに、王子のお仲間の皆さんは、 先の戦において巨大兜とも渡り合ってましたしね。
ふむ、それについては我も気になっていた。 人の身でありながら巨大兜と 同等に戦える力を持つとは……実に興味深い。
--あっ!? そうだ、王子! いいことを思いついたぞ! 折角こうして出会えたのだ。我らと手合わせでもせぬか? 其方らとなれば、良い訓練になると思うのだが……?
なるほど。城娘の皆さんとの軍事演習ということですね。 異世界の戦術については私も前々から興味がありましたし、 どうでしょう、王子。許可をいただけないでしょうか?
…………おお、そうか。 我らの申し出を快諾してくれるとはな。 ふふ、感謝するぞ、王子。
それでは、食事会が終わり次第、 手合わせの準備を進めるとしましょうか。
あ、あの……手合わせに関して異論はないのですが、 まさか皆さんだけで我々の軍と勝負をするのですか?
心配は無用です……こほっ、こほっ……。 城娘6人だけであろうと、巨大化さえすれば。 王子軍の皆さんと戦うのに戦力的な不足はないと思います。
きょ、巨大化? あの、それは一体どういう……。
えっとね--
首里城(巨大化)
--こういうことだよ、アンナー! スイたちねぇ、おっきくなれるんだよー。
…………っ!?
紫禁城(巨大化)
どうだ、王子? 見ての通り、我ら城娘は 斯様に肉体を巨大化させることが出来るのだ。
名古屋城(巨大化)
故に、寡兵であろうと巨大化した城娘が6人もいれば、 王子たちの軍とも対等に戦うことが出来るという訳です。
安土城(巨大化)
どうだ王子、相手として不足はあるまい?
わ、分かりました……それでは王子 食事会が終わり次第、 我々も手合わせの準備を致しましょう!
ぷっはぁーーっ! もう食えんがやぁ♪ 見たこともない料理ばっかりやけん、 ついつい食べ過ぎてしまっただにぃ。
この世界は本当に不思議だね、殿! ツバサたちの世界とは色んなことが違うんだもん!
けど、いつまでも居座る訳にはいかないわ。 そろそろ元の世界に戻らなくちゃ……。 --って、あれ? 城娘の皆さんは何処に?
うわわっ!? 千狐おねえちゃん! 彼処! 彼処に安土城ちゃんたちがいるよ! しかも皆揃って巨大化して……どういうことなのーっ!?
実は、先刻の食事会の最中に 安土城さんたちと話合いをしまして--
--王子軍と城娘とで 手合わせをすることになったですってっ!? そ、それは本当なのですか、王子!?
王子
…………(こくり)。
粋な計らい、大いに感謝するぞ、王子よ! 異世界の強者たちと戦えるとあっては、 さすがの我も興奮を抑えることができぬぞ♪
ぬぁーーっ!? ま、待つのじゃ! 妾は戦わぬからな! 異世界に来るだけでも、ちょー面倒じゃったのに、 これ以上、妾を働かせるとか……殺す気かっ!?
もぉ、そんなつれないこと言わずに、 指月伏見城さんも一緒に参加しましょうよ! 終わったら、甘々なみたらし団子をお渡ししますから。
--なにっ!? もぉ、それを早く言わぬかぁ♪ 団子のためなら、異世界の猛者であろうと 妾がコテンパンにしてやるのじゃっ!
わ、私も……こほっ、こほっ……、 殿に良いところを見せられるように、 頑張らないと……こほっ……。
また咳してるけど、だいじょーぶ? スイが、彦根城ちゃんの分まで頑張るから、 あんまり無理しちゃダメだよぉ?
それでは、皆--即時、戦闘態勢に入れっ! 我ら城娘は最初から巨大化した状態で戦に臨むと心得よ!
ユリアン
巨大化した城娘か……おもしれぇ! 相手にとって不足はなしだ! 王子、演習だろうが何だろうがやるからには勝ちにいくぞ!
それでは王子、出撃の準備をお願い致します!
未編集
まさか、我らを相手に一歩も引けを取らぬとはな……。 王子……そしてその仲間たちよ! 汝らの花咲ける武勇、まこと見事であったぞ。
そう言うアンタらだって、全員揃ってとんでもねぇ 強さだったぜ。巨大化した城娘たちが、 敵としてこっちの世界に来なくて本当によかったぜ。
こっちの世界に、かぁ……。 そろそろ異世界の扉が閉じちゃいそうだし、 ツバサたちも帰らなきゃだね。
せっかくみんなと仲良くなれたのに、 もうお別れだなんて何だか寂しいだに……。
何言ってるのよ、やくも。王子も殿も、 共に世界を救わんと進む者同士なのよ? きっとまた、道が交わる時が来るはずだわ。
……(こくり)。
……。 ……!
それでは、殿。 我々は元の世界に戻るとしましょう。 王子、アンナさん。そして仲間の皆さん。 世界は違えど、貴方たちのご武運をお祈りしていますわ。
ソーマ
…………行って、しまいましたね。 せっかく城娘の皆さんとも 仲良くなれたのに……寂しいです。
けど、千狐の言うとおり、きっとまたいつか会えるはずさ。 それまで俺たちも、アイツらに負けないよう 世界の平和の為に頑張っていこうぜ!
それでは、我々も帰還するとしましょう。 王子、本当にお疲れ様でした。
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