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//
//
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#style(class=split){{
#region(ネタバレ注意)
//=========================
#region(1:真夏の夜の出会い)
//==================
#region(1:開始時)
アンナ
 王子、夏祭りも盛況の内に終わりました。
 踊りに、肝試しに、余興に……皆さん、
 楽しんで頂けたみたいで何よりです。
 
 戦時中でのささやかなお祭りでしたが、
 激戦続きの兵たちにとって、
 良い慰安になったかと思います。
 
 あれだけ賑やかだったのが、嘘のようですね。
 ……少し、寂しい気もします。
兵士
 ――王子、魔物が接近中との報告です!!
 ゴブリンの群れが間もなく、こちらまで到来します!
魔物
 ギャギャ! オマツリ! オマツリ!
アンナ
 祭りの後の静けさにはまだ早いようですね。
 王子、応戦をお願いします!
#endregion(1:開始時)
//==================
#region(1:終了時)
ケイティ
 今ので魔物は全て討伐できたようですね。
 ……ん、アレは?
???
 ――ちょっと離して! 離しなさいよ!!
モーティマ
 おう王子、怪しい奴がいたんで、とっ捕まえておいたぜ。
 ゴブリンに変装して、店の食い物を狙ってやがった。
サヨ
 くっ……リンゴ飴に気を取られた挙句、
 捕まっちゃうなんて……。
 この義賊サヨ、一生の不覚だわ!
アンナ
 サヨさん……と言うのですか?
 あの、サヨさんはどうしてゴブリンに変装など?
サヨ
 ……年貢の納め時ってやつかしらね。
 そうね、長い話になりそうだし
 どこか落ち着いて話せる場所に移動しない?
アンナ
 ……どうやら逃げるきはないようですね。
 判りました。サヨさん、こちらへどうぞ。
#endregion(1:終了時)
//==================
#region(1:終了後 (ホーム画面にて))
サヨ
 改めて自己紹介させてもらうわね。わたしはサヨ。
 魔物が現れる前は義賊として、時に悪徳商人を懲らしめ、
 時にその富を貧しい人に分配したりしてきたわ。
 
 立派な国王と、うたわれた者であっても、
 裏で悪事に手を染めているなんて、
 日常茶飯事の光景だった。
 
 だから、この国はどうなのだろうと、
 ある日わたしは王城に忍び込んだの。
 
 あの日……復活した魔物が王城に押し寄せた日、
 わたしは王城にいたの。そして、
 王都から脱出するあなたの事を知った。
 
 あの日から、ずっとあなた達の戦いを間近で見てきたわ。
 あなた達が戦ってきた魔物の中に、変装したわたしが
 紛れていた事もある……ふふ、気づかなかったでしょ?
 
 そうして、これまでの王子の戦いをずっと見てきたの。
 あなたが本当に英雄の末裔に相応しい人間なのかどうか、
 それを見定めるために。
 
 ……え? その結論がどうだったか、って?
 それは……結論を話す前に、今までの戦いをもう一度、
 振り返ってみてもいいかしら。
 
 わたしが見てきたわたしとあなた達の記憶。
 その思い出話に付き合ってくれる?
 
 これまでの、戦いの記憶に。
#endregion(1:終了後 (ホーム画面にて))
//==================
#endregion(1:全体)
//=========================
#region(2:光と闇の聖霊(記憶))
//==================
#region(2:開始時)
 さて、全部の戦いを振り返るのは時間が足りないから、
 印象深い戦いに絞って話すわ。
 その一つが闇の聖霊を巡る戦いね。
 
 聖霊だけど人に絶望した結果、
 人を滅ぼそうと魔物に力を与えていた闇の聖霊。
 彼女は凶悪なデーモンに圧倒的な力を与えた。
 
 闇の聖霊の力を利用しようとデーモンは彼女を捕まえ、
 捕らえられた彼女を助けるために王子たちは
 他の聖霊たちの加護を借りて戦いに挑んだのよね……。
光彩の聖霊フェス
 ――そこの金色!
 闇の聖霊を離しなさい!
ゴールデンデーモン
 この闇の聖霊はすでにワシのものなのだ。
 離すわけないだろう。
闇の聖霊
 くそっ! 離せ!
アンナ
 王子、彼女を助けないと!
 でも一体、どうすれば……。
ハッピー
 心配いらないよ。
 人間の力だけで、どうしようもなかったらね。
 そんな時は、聖霊に力を借りたらいいのさ。
グラディス
 大丈夫、私たちの祝福を貴方達に授けましょう。
アイナ
 私の力を貸しますね!
サラ
 ……闇の聖霊さんを……助けてください。
シリル
 絶対倒せるよ!
ニーナ
 王子の事、信じてます!
セリア
 ……私の力も……受けとってください。
フローリカ
 わ、私だって!
アンナ
 力が……溢れてくる……!
 聖霊のみなさん!
 ありがとうございます!
光彩の聖霊フェス
 人間と聖霊が力を合わせた時、
 どんな困難ものり越えることができる。
 それを証明してください!
#endregion(2:開始時)
//==================
#region(2:終了時)
ゴールデンデーモン
 そ、そんなバカなぁぁぁぁ……!
 ワ……ワシが、人間ごとき……に……!!
 く……悔し……い……。
サヨ
 ――デーモンを倒して、闇の聖霊を解放して……。
 それからも沢山の出来事があった今、オニキスも
 常闇の聖霊として協力してくれるようになったのよね。
 
 あの時わたしはアークデーモンに化けていたの。
 聖霊の祝福を受けた王子たちには
 デーモンごとやられちゃったけど……。
 
 人間の力だけじゃなくて、
 女神アイギス様や聖霊の力も合わせて、
 王子たちは戦ってきたんだよね。
#endregion(2:終了時)
//==================
#endregion(2:全体)
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#region(3:闇ギルドの召使い(記憶))
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#region(3:開始時)
サヨ
 王子たちの戦いは魔物だけじゃなく、
 人間同士で戦うこともあったよね。
アンナ
 ――魔物に協力するような新しい闇ギルドを
 放っておくわけにはいきません。
 アイリーンさんに協力させてもらいますよ。
アイリーン
 ありがとうございます。魔物に立ち向かおうとした
 前ギルド長の恩義に報いるためにも、
 今の闇ギルドの行いは捨て置けません。
兵士
 報告! 前方から敵が迫ってきています!
アイリーン
 闇ギルドの暗殺者は痛みが倍増する毒を用いた
 武器を利用しています。暗殺者への対応は
 防御に優れた者にお命じくださるようお願いします。
アンナ
 それでは王子、戦闘の準備を!
#endregion(3:開始時)
//==================
#region(3:終了時)
サヨ
 野心に取りつかれ、闇ギルドを乗っ取った
 ギルド長を倒したのよね。おかげで、闇ギルドの活動は
 今の所は沈静化しているみたいよ。
 
 わたし、あの時は闇ギルドを成敗しようと、
 ローグに変装してギルドに潜入してたんだけど……
 
 ……王子たちには、
 闇ギルドの構成員に間違われて
 一緒くたにやられちゃったのよね。
 
 まぁ、別に恨み言を言う気はないんだけど。
 こんな時代に人間同士で争うなんて、悲しい事よ。
 早く平和を取り戻して、人が信じあえる世界にしなきゃ。
#endregion(3:終了時)
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#endregion(3:全体)
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#region(4:千一鬼夜行(記憶))
//==================
#region(4:開始時)
サヨ
 聖霊に人間に。魔物以外には妖怪とも戦ったよね。
 中でも100体以上の妖怪に加え、鬼の大将、酒呑童子とも
 戦った激戦はほんとに凄かった……。
バシラ
 ――王子、私に届いていた手紙によれば、
 もうすぐこの東の国を妖怪が襲撃するハズです。
 
 『妖怪猫娘よ。決起の時は来たれり。
 あまねく妖怪の力を結集し、再び千鬼夜行を巻き起こそうぞ
 次に月が満ちる夜、東の国にて待つ』
 
 差出人に妖怪総大将って書いてるんですが、
 私を誰かと勘違いしているのでしょうかね?
 
 あ、まだ続きがありました。
 
 『追伸
   こたびの夜行には復活を果たした鬼の大将
   酒呑童子も加われり』
 
 鬼の大将……王子、気を付けてくださいね。
 さぁ、東の国の皆さんを守りに行きましょう!
#endregion(4:開始時)
//==================
#region(4:終了時)
サヨ
 わたしの変装術に加えてあの妖怪の数。
 わたしが居た事に気づかなくても仕方ないわね。
 
 組んず解れつの妖怪千鬼夜行。
 変装が解けちゃうんじゃないかって
 ちょっとヒヤヒヤしてたわ。
 
 そして、この戦いの後も、妖怪軍団拡大を図る
 ぬらりひょんとは何度か戦う事になるのよね……。
#endregion(4:終了時)
//==================
#endregion(4:全体)
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#region(5:封じられし仙猿(記憶))
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#region(5:開始時)
ぬらりひょん
 お前がここに封印されていた魔物か。
 うーむ、想像と少し違うな……。
 何者だ名を名乗れ!
???
 なんだ、このじいさん。
 オレの名前を知りたきゃ。
 まず、お前が名乗れよ。
ぬらりひょん
 な、なんだと……! よ、よかろう。
 わしは妖怪総大将ぬらりひょん様じゃ。
 さあ、頭が高いひかえおろう。
???
 妖怪の分際でえらそうに。
 よく聞け、オレの名は……ん?
 オレの名は……あれ、なんだっけ?
ぬらりひょん
 自分の名前もわからぬのか!?
 まあ良い、封印を解いてやったのだ
 わが妖怪軍団に加わるのだ。
???
 へー、オレの主になりたいっていうのか。
 いいだろう、オレよりも強かったら
 手下になってやるよ。
ぬらりひょん
 ちょ、ちょっと待て!
アンナ
 そうです。ちょっとお待ちください。
 あなたは何者ですか。
???
 うるさいな。このじいさんをぶっ倒した後に
 相手してやるよ。
 さあ、じいさん、こっちに来い!
ぬらりひょん
 ま、待てといっておるじゃろ!
 こら、ワシを掴んだまま飛ぶなぁぁぁ……!
兵士
 王子、雲に乗った魔物がぬらりひょんと戦場を離脱!
 また、魔物の群れがこちらに
 向かって来ています!
ケイティ
 こんな時に! 王子、まずは魔物を倒しましょう。
 雲に乗った魔物も戻ってくるかもしれません。
 空飛ぶ敵も配慮に入れた采配をお願いします。
#endregion(5:開始時)
//==================
#region(5:終了時)
サヨ
 戦いの後、王子を主と認めた空飛ぶ魔物……
 ……いえ、魔物じゃなくて仙猿だったわね。
 封じられていた仙猿、ファーも仲間に加わる事になった。
 
 そう言えば、長い封印で名前も覚えていなかった彼女に
 『ファー』って名付けたのは王子だったっけ。
 
 あの時は、空を飛ぶファーに気を取られて、
 地上からあなたを尾行する
 わたしの変装に気づかなかったようね。
 
 ぬらりひょん……昔妖怪に変装して、
 奴の許に潜入した事もあったけど。あの人、
 妖怪に対しては結構優しい一面もあったのよね。
 
 中でも、自慢の娘に対しては甘々で……と、
 いけない。これはまた別の話だったわ!
 
 でも、この後も幾度となく戦う事になる妖怪達と、
 手を取り合い共に戦う道を開いた王子はスゴイと思う。
 ……まだ英雄って認めたわけじゃないけれど。
 
 だって、結論を出すにはまだ早すぎるでしょ。
 あなたが辿ってきた道はまだまだ途中なんだから。
#endregion(5:終了時)
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#endregion(5:全体)
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#region(6:妖魔の逆襲(記憶))
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#region(6:開始時)
サヨ
 生まれや国、種族にも囚われずに仲間を増やしている
 王子だけど、妖魔の軍勢とはそうもいかないみたいね。
 ドワーフの救援としてゴブリンの軍団とも戦ったっけ。
ドロシー
 ――王子、ドワーフ王国の助けに応じてくれてありがとう。
 王国に攻めてきたゴブリンの大軍は
 もうすぐこの道を通るはずなの。
 
 私がいる王国のドワーフは昔からゴブリンの侵攻を
 押し返してきたけど、あんな勢いづいて統率が取れている
 ゴブリンたちは今まで見たことがないの。
 
 大きな騎獣による戦車なんて兵器も初めての事なの。
 王子たちの強さは私たちドワーフにまで
 知れ渡っているけど、油断は禁物だよ。
 
 ……たくさんの地響きに足音。
 ゴブリンの軍勢が来たみたいなの。
 王子、一緒に頑張ろうね!
#endregion(6:開始時)
//==================
#region(6:終了時)
サヨ
 あれだけの数のゴブリン軍団に加えて、
 騎獣戦車まで倒しちゃうんだから、
 王子軍の強さは本当にすごいよね。
 
 戦わないで解決できればそれが一番なんだけど。
 ……穏やかな魔物だっているし、いつか分かり合える
 ゴブリンたちとも出会えるよ、きっと。
#endregion(6:終了時)
//==================
#endregion(6:全体)
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#region(7:死霊術師と反魂の至宝(記憶))
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#region(7:開始時)
サヨ
 次は……え、メトゥスさんの助手である
 リッチに頼まれて、彼女を助けにいった時の事?
 確かに、あの戦いも印象に残っている出来事ね。
 
 不死者であるメトゥスさんとは最初、敵対してたのよね。
 だけど、彼女の助手であるリッチが王子の許を訪れた。
 
 不死者を操る魔神ビフロンスから彼女を助けてくれ、と。
 それで、不死者を人間に戻せる力をもつ宝玉、
 反魂の至宝を取りに出立したのよね。
バルバストラフ
 ――事態の深刻さは理解したようじゃの。
 不死者のままいれば、ビフロンスに身も心も
 操られるのは時間の問題じゃ。
メトゥス
 私は……。
アンナ
 不死者のままだとビフロンスに魂を操られる、
 だけど人間に戻れば、いつか死んでしまう。
 メトゥスさん、すごく悩んでいます、王子……。
???
 ―――フフフ、悩む必要などありませんよ。
リッチロード
 私はビフロンス様の忠実なる配下の一人、
 リッチロード。主の命によりメトゥス様を
 お迎えにあがりました。
メトゥス
 追っ手を差し向けてまで魂を求めるなんてね。
 ビフロンスも見る眼はあるようじゃない。
 だけど、私の魂はそう安くないのよ。
リッチロード
 苦悩、煩い、恐怖……あなたを取り巻く
 負の楔は、ビフロンス様への忠誠ひとつで、
 すべて取り除かれるものなのですよ?
メトゥス
 耳障りな台詞を並べ立てないでもらえるかしら?
 お喋りなリッチってキライなの……。
 私の魂がほしいなら、もぎ取ってみなさいよ。
リッチロード
 仕方ありませんね……。
 我が主は私にこうも言っていました。
 
 『生死は問わぬ』とね。
 我が主ながら実にユーモアがある。
 不死者に生死を問わないとは……くくく。
 
 フフ、ビフロンス様より与えられた
 この強大な力をもって、
 貴方達を殺し尽くして上げましょう。
#endregion(7:開始時)
//==================
#region(7:戦闘中)
助手リッチ
 コロス……人間ハ、ミナゴロシダ……。
 我ガ主ビフロンス様の御心のママニ……。
メトゥス
 あなた達ッ!! 生きてたのね!?
 もうっ! どれだけ心配させるのよ!
 少しだけだけど寂しかったのよ?
 
 って、そうよね。魂が残っていれば
 何度だって蘇るのが不死者ですもの。
 あぁ、私ったらそんな単純なことを――。
助手リッチ
 誰ダ、貴様ハ?
 死霊ガ……ナゼ人間に与スル?
メトゥス
 ――ッ!? 何を……言ってるの?
 私よ! メトゥスよ! あなたのマスター!
 ……ほんとうに、覚えていないの?
助手リッチ
 訳ノ分カラヌ事ヲ……。
 出来損ナイメ……コロシテヤル。
 役立タズノ不死者ナド必要ナイ……。
メトゥス
 ……うそよ。
 だって、あなたは私の死霊で。
 私はあなたのマスターで……こんなことって。
#endregion(7:戦闘中)
//==================
#region(7:終了時)
助手リッチ
 ――ぁぁ…ぁ…メトゥス様……有り難うございます。
 ……お泣きになることは……ないのです……。
 貴方には……もう、沢山の、仲間……が……。
メトゥス
 ……今まで、ありがとう。
 そして、さようなら……。
サヨ
 ビフロンスに魂を操られる事がないように……
 操られる苦しみから解放するために……
 彼女は、家族以上の存在だったリッチを消滅させた。
 
 ……凄く、辛い決断だったと思うわ。
 
 わたしは、メトゥスさんが不死者として人々にしてきた
 罪過も見てきたわ。それは王子も同じハズ。
 それでも、王子は彼女を受け入れた。
 
 清濁併せ呑む……それは同時に両方の敵対者と
 戦う事にもなりかねない道。
 
 王子の選択の結末、それを見届けるために
 わたしの戦いも続いていくわ。
#endregion(7:終了時)
//==================
#endregion(7:全体)
//=========================
#region(8:莫邪の宝剣(記憶))
//==================
#region(8:開始時)
サヨ
 王子は誰かのために戦ってる印象が強いけど、
 スクハさんを助けに行軍した時もそうだったわね。
 
 スクハさんの国に伝わる宝剣、干将剣と莫邪剣。
 お互いを引き寄せる夫婦の逸話を持つこの宝剣を
 巡り、妖虎仙と戦った時の事を憶えてるかしら?
妖虎仙
 ――仲間を得るなど、惜しいのぅ、皇女スクハ。
 其方は、孤独と寂ばくこそが無二の
 化粧であったものを……。
スクハ
 妖虎仙!? ……私はもう独りではない。
 朋友が、このスクハを支えているのだから!
妖虎仙
 ならば、わしがすぐに孤独を思い出させてやるわぃ。
 宝剣の担い手として、永劫の番いとなりて、
 貴様を死ぬまで慈しみ、哀れんでやろうぞ。
スクハ
 戯れるな、妖虎仙! 私は、もう逃げません!
 宝剣が導いた新たな仲間との絆の許に
 貴方を討ち払います! 覚悟ッ!!
#endregion(8:開始時)
//==================
#region(8:終了時)
サヨ
 ふふふ、あの戦いでわたしの変装術も、
 ついに動物に化ける境地に達したわ。
 ……流石に虎みたいな速度で走るのはムリだけど。
 
 あの戦いの後、妖虎仙は倒れた。
 けれど、また新たな敵も現れて、
 仙人と邪仙による戦局は未だ混沌としているわ。
 
 ……この戦いの日々に決着がつく日なんて、
 本当にあるのかしら。
#endregion(8:終了時)
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#endregion(8:全体)
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#region(9:荒ぶる魔獣の森(記憶))
//==================
#region(9:開始時)
サヨ
 戦いと言えば、復活した魔物以外にも
 獣や魔獣と戦っている時もあったわね。
ベラ
 ――王子! もう一度言うけど、
 魔獣の森が大変なんだぞッ!
 森の魔獣達がとつぜん暴れだしてるんだ。
 
 普段は魔物使いが森の魔獣たちをぜーんぶ管理して、
 悪さしないようにしてるんだ。
 
 魔獣が暴れてるってことは、森の魔物使いに
 何かあったのかもしれない。心配だぞ……。
 
 うぅーッ!! 今はとにかく
 魔獣たちを無力化して元の平和な森に戻すしかないぞ!
#endregion(9:開始時)
//==================
#region(9:終了時)
サヨ
 ――森の獣や魔獣、それに
 魔物使いまで現れての大乱戦だったわね。
 
 わたしはトロルに変装してたんだけど、
 猫背で窮屈で……中々に難しい変装だったわ。
 
 あの混戦じゃなかったら、
 流石にバレていたかもしれないわね。
 ……気付かれずに済んで良かったわ。
#endregion(9:終了時)
//==================
#endregion(9:全体)
//=========================
#region(10:堕天使の誕生(記憶))
//==================
#region(10:開始時)
サヨ
 魔物、妖魔、魔族に妖怪。王子の長い戦いの最中、
 沢山の新たな敵が……ううん、敵だけじゃないか。
 沢山の味方に、沢山の出会いがあったわね。
 
 中でも天使と堕天使は同じ天使同士で、
 完全に人間の敵と味方で分かれちゃってる。
 
 人を滅ぼせと言う神の命令を絶対とし、
 課された命を果たさんとするのが多くの天使達……でも、
 人を信じ、守りたいと思ってくれる天使だって居る。
 
 たとえ神に背いて堕天する事になってでも、
 人を守る道を選んでくれた堕天使のみんな。
 天使長ミルノさんもその一人だったね。
ミルノ
 ――まさか……これが、神罰……なのですか?
 悲鳴、怒号、絶望、恐怖……ここは、おかしい。
 全てが混沌として、美しさなど……ない……。
アンナ
 ミルノさん!
 お願いです! 天使達を止めてください!
 このままでは、本当に全ての人々が……ッ!?
ミルノ
 し、しかし……神の命じられたことです……。
 私がそれに背くなど……主は、間違わない……。
 間違うはずが……ない、のに……。
エルン
 目の前の光景をしっかりと見てください、天使長!
 これがあなたが仕える、神と呼ばれる者の内心なのです!
ミルノ
 堕天使に身をやつした者の言うことなど……。
エルン
 私も貴方のように神を信じていました。
 ですがあの方は、人間を罰するべき愚物と決めつけ、
 何も見ようとはしていなかったのです。
 
 人間には原罪が内包されるのと同時に、愛があります。
 それは、天使や神すら持ち合わせなかった
 この世界の唯一の輝きではありませんか?
ミルノ
 愛……? わからない……私には、そのようなもの……。
 いいえ、天使長である私が神を疑うなど、
 あってはいけないのです!
エルン
 ……天使長!!
 なぜ分からないのですか……?
 本当はもう気が付いているはずです……!
 
 天使長……私は私の意思をもって、貴方を止めます!
 これこそが堕天した者にしか果たせない責務だと、
 今はっきりと私は理解しました!
アンナ
 戦うことは、避けられないのですね……。
 王子、ミルノさんを迎え撃ちましょう。
#endregion(10:開始時)
//==================
#region(10:終了時)
ミルノ
 なぜ……天使長である私が、
 人間などに……負けるの、ですか……?
 わからない……理解が追いつかない……。
エルン
 貴方の心は、もう理解してしまって
 いるのではありませんか? 神にではなく、
 人間こそが、信じるべき光なのだと……。
ミルノ
 ……嘘です。
 あなたは堕天使……悪魔です。
 私をたぶらかし、地獄に引きずり込む気ですね。
エルン
 ならばこの光景は何なのですか!?
 見なさい、貴方達が産み落とした戦火を!
 これを地獄と言わず何を地獄とするのですか!!
ミルノ
 ――ッ!?
 ……あ、ァあ……私は……私は……そんな、
 こんな……ことの為に……うぅ……ぁ、ァ……。
エルン
 大丈夫です……私がついています。
 自らの心奥に問いかけるのです……。
 貴方の心は、どうしたいと叫んでいますか?
ミルノ
 私は……助けたい……人を、助けたいと、
 願ってしまっている……こんな、ことって……。
 こんな地獄は、見たく、ありません……。
 
 私は……世界が美しくあってほしい……。
 そして、私は正しく……ありたいのです……。
 その為には……背くしか、ないのですか……?
エルン
 神に従い、自らを偽るか……。
 神に背き、自らを正すか……。
 ミルノ……苦しくても、選ぶしかないのです。
ミルノ
 ……貴方には、迷いがないのですね。
 己の信念に裏打ちされた瞳が、ただ美しい
 ……私も、美しく……ありたい……正しくありたい……。
 
 主よ……ここにざんげします。私は、貴方ではなく、
 己に従うことを選びました……不意に生まれた
 この心を、人への慈愛を、お赦しください……。
サヨ
 ……この戦いの後、
 ミルノさんは人間の未来を守るため、
 堕天使として仲間になってくれたのよね。
 
 それから、堕天したミルノさんを守るために、
 彼女を断罪に来た大天使長と戦って……え?
 ミルノさんと戦った時には大天使長はいなかった?
 
 ……ご、ごめんなさい。実はこの戦いのときは、
 天使から街の人を守るために色々動いてて、
 一部始終を見てたわけじゃないのよね……。
 
 ……ま、まぁ。仮にあの場に大天使長が
 現れてても王子たちは負けなかったでしょ。
 細かい事は気にしないで行きましょ!
#endregion(10:終了時)
//==================
#endregion(10:全体)
//=========================
#region(11:仮初の必殺剣(記憶))
//==================
#region(11:開始時)
サヨ
 王子の戦いを語るうえで、
 暗黒騎士団の存在は良くも悪くも外せないわね。
王子
 ……。
サヨ
 そうね。団長が今のデシウスに変わった後も、
 暗黒騎士団とその団長は彼らなりの考えから
 戦いに臨んでいたのよね。
デシウス
 ――ようやく、この手に収めることができた……。
 探し求めていた魂が……。
 わが師の魂が、この手にあるのだ……!
師匠
 ……デシウス……か?
 お前の事は案じておったが、その漆黒の鎧、
 暗黒騎士に成り果てたか……。
デシウス
 わが師よ……。
 何故……なぜ、このデシウスに
 奥義を伝授しなかったのですか?
師匠
 デシウス、お前は大切な者を失い、
 復讐心に駆られていた。その念が消えぬ者にとって
 あの奥義は諸刃……。お前を想っての事なのだ。
デシウス
 ……そんなこと、信じられるか!
 貴方は、我輩の力を恐れていただけだ! 我輩は、
 自らの力で、今から貴方の奥義を自分のものにします。
師匠
 吸魂の力……死した魂の力を我が物とする外法か。
 それで仮初の必殺剣を得てどうする?
 デシウス、本当にこれがお前の求めた答えか?
デシウス
 ……う、うるさい! もう騙されぬぞ!
 我輩は我輩のやり方で最強となるのだ!
 もう二度と、大切なモノを失ったりなどしない!
 
 ――……グ、グフフフ……フハハハハッ!!
 遂に、我輩は必殺剣を会得したのだ!
 もはやこの身に、敗北の二文字は無いッ!!
ミーティア
 必殺剣……そうか、師匠の魂を宿したんだね?
 だけど、星の心を解さない君では、
 奥義をうまく操る事など出来ないよ!
デシウス
 グフフ……何をバカなことを言っている?
 我輩の必殺剣は完璧だ!
 貴様の父と同じ力を我輩は手に入れたのだ!
ミーティア
 人の心を完全に捨ててしまったようだね……。
 いいよ……同門のボクが終わらせてあげる。
 君の苦しみも悲しみも、全て斬ってみせるよ。
レシア
 ミーティア、必ず貴方の師匠の魂を救おう。
 王子、ここでデシウスとの決着をつけるぞ。
#endregion(11:開始時)
//==================
#region(11:終了時)
デシウス
 ――ぐッ、ガ……はぁッ……ハァ……。
 我輩の必殺剣が……敗れる、だと……?
ミーティア
 今の君には、敗北の理由も、
 強さの意味も、何も理解はできないだろうね。
デシウス
 黙れ……黙れ黙れ黙れぇェェえええ――ッ!
 我輩は間違わない……もう間違わんのだ!
レシア
 待て、デシウス!
 ……くっ、逃げられたか……!
サヨ
 あの時、わたしは暗黒騎士に変装……と言うか、
 一体を言いくるめて中に入ってただけ、なんだけど。
 わたしはデシウスの想いも聞いたよ。
 
 デシウスの選んだ道は間違ってる。
 大切なモノを守るためであったとしても、
 それ以外を犠牲にするような選択は。
 
 ……王子は、そんな道は選ばないと信じてる。
 王子の戦いと選択をずっと見てきたから、そう思うの。
#endregion(11:終了時)
//==================
#endregion(11:全体)
//=========================
#region(12:ケイティの再演習(記憶))
//==================
#region(12:開始時)
サヨ
 新しい仲間を増やして、新しい敵と戦って。
 だけど、仲間が増える大変さもあったよね。
王子
 ……?
サヨ
 王子はあまり気にしてないみたいね……。
 けど、ケイティさんは
 その辺りで結構苦労してるみたいだよ。
 
 風紀維持や連携諸々含めて、
 演習しようって事があったでしょ。
ケイティ
 ――王子……この度は、
 私からの演習の申し出に賛同して頂き、
 本当にありがとうございます。
 
 互いに仲間として、同じ志の許に集ったという結束力を高め
 連携の強化を目指し、戦力の底上げを図る。
 そんな、実りのある演習となることを願っています。
 
 それでは……演習、開始!
#endregion(12:開始時)
//==================
#region(12:終了時)
ケイティ
 ――それまで!
 ……ありがとうございます、王子。
 おかげで良き演習となりました。
 
 互いに競い合い、また協力し合うことで、
 種族や立場のわだかまりを超えた絆が生まれ、
 育っていると感じられる戦いでした。
 
 我が軍の力の源は何か、
 それを再確認できる演習になったかと思います。
 王子、此度はお疲れ様でした。
サヨ
 ――どんなに強くても、
 一人でやれる事は限られてるものね。
 
 仲間同士助け合い、力を合わせてきたからこそ、
 強大な敵にも打ち勝ってこれた。
 あなた達を見てると本当にそう思うよ。
 
 ……それにしても、
 山賊に変装してあの演習に参加した時は、
 生きた心地がしなかったわ。
 
 死霊使いに分身する仙人にリビングアーマー。
 ……王子の仲間って、
 ほんとに色んな人たちが居るよね……うん。
#endregion(12:終了時)
//==================
#endregion(12:全体)
//=========================
#region(13:時をかける魔女(記憶))
//==================
#region(13:開始時)
サヨ
 そうだ、一度、わたしの方から王子に聞いていい?
 王子の印象に残っている戦いを教えてよ。
 沢山あるだろうし、一つだけでいいからさ。
 
 ……王都脱出で「過去の」部下を守れた事?
 あ、時の魔女であるココロちゃんの頼みで、
 時間移動をした戦いの時ね。
 
 ココロちゃんの師匠を殺し、力を奪ったクロノデーモン。
 その力で過去を変えようとするデーモンを追って、
 王子たちも過去に移動したんだよね。
 
 ……あの戦いはわたしも特別、印象に残ってる。
 流石に時間を移動して尾行とかできないから、
 王子軍に紛れ込んで付いて行ったのよ。
ヘクター(過去)
 ――伝令!
 戦場に突如としてデーモンが出現しました!
 こ、このままでは前線は半時も保ちません……!
クレイブ(過去)
 デーモンだと……!?
 くそっ……ここまで……なのか……?
 王子は……王子はご無事なのか!?
アンナ
 ここは……まさか、王都……?
 魔物が城に攻め込んできた、
 あの時に戻ってきたのですね……。
クレイブ(過去)
 せ、政務官殿!? それに王子まで……?
 どうしてここにおられるのですか?
 王都を脱出したのではなかったのですか?
アンナ
 ……そう、ですね。
 確かに、一度逃げはしました。
 ですが今、こうして援軍を率い戻ってきたのです!
ヘクター(過去)
 援軍……こんなに大勢の方々が……。
 王国の為に力をかしてくれる仲間がこんなに
 居ただなんて……夢じゃ、ないんですよね?
兵士?(過去)
 ――戦える人はわたし……じゃなくて、
 自分に続いてください! こちらです!!
ソーマ(過去)
 ……良かった、合流できました!
 クレイブさん、大丈夫ですか!?
アリサ(過去)
 ヘクターさん、こんなにボロボロになるまで戦って……。
 今、治療しますね。
兵士?(過去)
 あ、あなたが王子? 敵の本隊が来るよ!
 この義賊サヨ……じゃなくて、
 えっと、わたしも戦う……で、あります!
#endregion(13:開始時)
//==================
#region(13:終了時)
兵士?(過去)
 これで一段落……?
 ううん、遠くから行軍の土煙。ここに向かって、
 これまで以上の軍勢がやってくる……で、あります!
クレイブ(過去)
 くそっ……。
 魔物どもめ……、一体どれだけ倒せば……!
 王子、ここは私達が引き続き死守します!
アンナ
 ……全軍、至急撤退の準備をしてください。
 東西に散開して逃走、敵の追撃を避け、
 女神の神殿へ続く森へと向かってください。
クレイブ(過去)
 王都を、魔物に明け渡すというのですか……!?
 いえ……王子の指示ということであれば……、
 異論は……ありません……。
アンナ
 ごめんなさい、そして……ありがとうございます。
 王子が再起するためには、皆さんの力が必要なのです。
 今は全員、生き延びる事を考えましょう!
クレイブ(過去)
 了解しました……王子、どうかご無事で。
 再び、神殿の森にてまみえましょう。
ココロ
 ……行っちゃったね、アンナさん。
 デーモンはまた時空の門を使って過去へと
 跳んでいったわ。私達も急がないと……。
アンナ
 はい……ココロさん。次の時代へ行きましょう。
 何としても私達の歴史を、そして過去の王子を、
 守らなくてはいけないのですから。
サヨ
 ――あの日から、王子の戦いが始まったんだよね。
 あの時、実はわたしも一緒に戦ってたんだよ?
 王子からすれば一兵士だったと思うけど。
 
 それに、王子達について過去に戻ったわたしは
 デーモンに変装して王子達を見ていたわ。
 
 王城を襲ったデーモンの一体が、
 まさかわたしが変装していたデーモンだなんて……
 ……あの時は思いもよらなかったなぁ。
 
 自分でさえ気づけない変装術。流石わたしね!
 ……この後、さらに過去に時間移動して、
 王子が子供の頃に移動したんだっけ。
#endregion(13:終了時)
//==================
#endregion(13:全体)
//=========================
#region(14:幼き王子(記憶))
//==================
#region(14:開始時)
サヨ
 それから、さらに過去へと移動したクロノデーモンを追って
 王子たちも過去に移動したんだよね。
 まだ王子が子供だった頃に。
クロノデーモン
 グワッハハハッ!
 我が名はクロノデーモン。魔界より来れり者ぞ。
 雑魚どもは道を開けよ。我は王子に用があるのだ。
子供王子
 ……。
クロノデーモン
 ほう、自ら我が前に歩み出るとはな……。
 その潔さだけは褒めてやろう。
子供王子
 ……!
クロノデーモン
 まさか、我と戦う気なのか?
 そのオモチャの剣で?
 グハハハハハハハハハハハッッ!!
 
 いや、失礼。
 さすがは伝説の英雄の子孫! 実に健気だ!
 いいだろう、英雄らしく剣を手に死ぬがいい!
アンナ
 そうはさせません!
クロノデーモン
 くっ、我が時代の王子たちか……!
 手下共よッ、奴等の相手などするな!
 狙うべきはただ一人、この時代のガキ王子だッ、ゆけ!
#endregion(14:開始時)
//==================
#region(14:終了時)
クロノデーモン
 ――はぁ……ハァ……ぐゥ、ぅぅッ……。
 そんな、ばかな……我は、時を超越した……、
 クロノデーモンだと……いうのに……。
ココロ
 何が時を超越した、よ!
 人様の大切な師匠の身体を奪って、
 力を利用して……ふざけないでよッ!
クロノデーモン
 ま、待て! この時間を操る力があれば、
 過去は何度だってやり直せるのだ!
 き、貴様の師匠が生きる世界に移動する事も――
ココロ
 うるっさーーーーーいッ!
 過去は変えてはいけない、それが辛く悲しい過去でも。
 そう……師匠が……言ってたんだもん……。
クロノデーモン
 う、ぐぁぁあッ……。
 そんな……ばか……な…………。
 完璧な計画……だった……の……に。
サヨ
 ……かくして、過去の王子を殺そうと、
 歴史の改ざんを狙った
 デーモンの企みは阻止されましたと。
 
 あの時は、いざとなれば王子だけでも助けようと、
 デーモンに変装していたんだけども……。
 
 ……結局、そんな必要もなかったわね。
 ただわたしが痛い思いをしただけで終わっちゃった。
 
 べ、別に怒ってなんかいないわよ。
 王子が無事だったのなら、それが何よりでしょ。
 
 だいぶ長く思い出話に浸っちゃったわね。
 少し疲れて来たんじゃない?
 次の話で、一度休憩にしましょうか。
#endregion(14:終了時)
//==================
#endregion(14:全体)
//=========================
#region(15:アモン再臨(記憶))
//==================
#region(15:開始時)
サヨ
 印象に残る戦いって言ったらさ、
 王子軍の強さに一番驚いたのはあの戦いだよ。
 
 ほら、一度は退けた魔神アモン。
 奴がパワーアップしてやって来た時。
 あんなの、どうやって戦うのって思ったもの。
アンナ
 ――王子、もうすぐ、敵と接触します。
 先に迎撃にあたった兵の半数は命を落とし、
 残りは命からがら逃げ延びた……あの魔神アモンと。
 
 報告によると、敵は炎に包まれた鳥の頭を持つ魔物で
 並外れた戦闘能力を誇っているとの事。
 進行を止めることすら難しく思われます。
 
 その上、鎧が溶けてしまう程の凄まじい炎熱を
 まとっており、近づくだけでダメージを
 負ってしますようです。
 
 また、同様の力を備えた眷属も従えているようです。
 これまでとは比べ物にならない壮絶な
 戦いが予想されます。
 
 十分な鍛錬、編成を準備された上で
 こちらに布陣しているとは思いますが、
 その上で、慎重な采配をお願いします。
#endregion(15:開始時)
//==================
#region(15:終了時)
アンナ
 王子、魔神が後退していきます!
 ……なんとか、魔神を退けられたようですね。
 
 魔神アモンを撃退できて本当に良かったです。
 王子、この度はお疲れさまでした!
サヨ
 ……ほんと、奇跡的な勝利だよね。
 あの魔神を一度だけじゃなく
 二度も追い払っちゃうんだから。
 
 ちなみにわたしはデーモンに変装して、
 王子の戦いを見届けてたのよ。
 熱い戦いだったわ……色んな意味でね。
 
 さて、それじゃこの辺りで一度休憩にしましょうか。
 長話に付き合ってくれてありがとう……と言っても、
 積もり積もった話はまだまだあるわ。
 
 今までろくに話せなくて溜まった分、
 この機会に語りつくしちゃうんだから。
 休憩が終わったら、ちゃんと付き合ってよね!
#endregion(15:終了時)
//==================
#endregion(15:全体)
//=========================
//以下、後半追加ミッション
//=========================
#region(16:帝国猟兵とオーク勇者(記憶))
//==================
#region(16:開始時)
サヨ
 休憩も挟んだし、話を再開するわね。
 戦いを続ける中、王国とは別に魔物と
 戦う国家……白の帝国と出会ったのよね。
 
 オークの大群が密林に攻めてきた時も、
 彼らはジャングルを守る為に戦っていた。
 
 ……けれど、部隊は壊滅寸前まで戦うも敗走。
 その後も帝国猟兵のレーゼルさんだけは
 たった一人で反攻を続けていて――
レーゼル
 ――ここまでの協力、感謝する。
 だけどオーク軍の戦力は予想を遥かに超えている。
 貴方は撤退した方が……。
王子
 ……。
レーゼル
 撤退はしない、か。ありがとう、王子。
 独りだった私に力を貸してくれて。
 私も貴方達と一緒に戦い抜きたい。
???
 ――少し会わない間に、
 随分と優しい目をするように
 なったのですね、レーゼルさん。
レーゼル
 え、エリアス!?
 なぜ帝国の治癒士がこんな場所に……?
 まさか……白の帝国の援軍が到着したのか!?
エリアス
 お待たせして、本当にすみませんでした。
 既に、後陣の準備は完了しています。
兵士
 伝令!
 オーク軍団の接近を確認しました!
 皆さん、臨戦態勢をとってください!
ユリアン
 絶好のタイミングだぜ、まったく。
 っしゃあ! こっからが本番だぜ。
 王子、レーゼル! オークをぶっ倒すぞ!
#endregion(16:開始時)
//==================
#region(16:終了時)
サヨ
 ――わたしが過去に見てきた君主の中には、
 普段は正義を掲げていても、危険が迫れば我が身
 可愛さで民や兵を見捨てる君主も居たわ。
 
 でも王子はオークの大群が迫る中、
 最初は非協力的だったレーゼルさんを見捨てる事なく、
 最後には協力してオークの軍を打ち払った。
 
 危険が迫る中、自分の身を顧みず誰かを助ける。
 王子が他人を見捨てられない人だっていう事を
 この戦いを通して感じたの。
 
 そしてレーゼルさんもこの後、帝国猟兵ではなく
 一個人としての協力を約束してくれた。王子の行動が
 レーゼルさんの気持ちを動かしたのね。
 
 こうやって、立場が違う相手でも、
 少しずつ分かり合えていければ良いよね。
#endregion(16:終了時)
//==================
#endregion(16:全体)
//=========================
#region(17:暗黒騎士団の崩壊(記憶))
//==================
#region(17:開始時)
サヨ
 出会いもあれば別れもあり。
 まぁ、敵と別れるのは良い事かもしれないけど……。
 デシウス率いる暗黒騎士団とも決着を付けたわね。
 
 デシウスがお手製の挑戦状を送ってきて。
 わたしはそれを知ってすぐ、暗黒騎士団に潜入したわ。
 今度は、普通に鎧を着こんで変装して――
暗黒騎士の手下(サヨ)
 ――うう、鎧ってこんな重たいんだ。
 ヘビーアーマーの人たちは普段着みたいに
 着てるのになぁ……うぅ、フラフラする……。
デシウス
 むむ、そこのフラフラとした貴様!
 こんなところで何をしておる!
 さっさと配置につかんか!
暗黒騎士の手下(サヨ)
 デ、デシウス……様!
 あ……えっと、ちょっと身体が重たくて。
 か、風邪でしょうかねー?
デシウス
 何を言っておる、
 暗黒騎士は肉体が無いのだから、風邪などひかぬだろう。
 調子が悪いのを生前の感覚と勘違いしておるな。
 
 まぁ良い。どれ、少し待っていろ。
 調子が悪いなら馬を持って来てやろう。
 
 ――……どうだ、馬に乗り槍を構えているくらい、
 その身体でも問題なかろう、しっかり働くのだぞ!
暗黒騎士の手下(サヨ)
 はっ、了解です。ありがとうございます!
デシウス
 なに、気にするな。無理はするでないぞ。
 ……思えば、兵達とは
 随分長く共に戦ってきたものだな。
 
 ……だが我輩は、もう2度と
 大事なものを失うわけにはいかないのだ……。
 すまぬが、最後まで付き合ってくれ。
#endregion(17:開始時)
//==================
#region(17:戦闘中)
デシウス
 ようやく来たな、王子。今日こそは勝たせてもらうぞ!
 我輩の最後の切り札……その目でしかとみるのだ!
 ……この戦いで、我輩はさらに力を得る!
アンナ
 デシウスの身体に、
 何かが集まっていく……?
バルバストラフ
 まずい……。
 あやつめ、この地で死んでいった者の怨念を
 自身に取り込んでおるわぃ……。
アンナ
 怨念を……取り込む……?
バルバストラフ
 王子に倒された者達の負の念を力に変えているのだ……。
 恐らく、この戦いで我らが倒す敵の怨念すらも
 力へと変えるつもりなのじゃろう……。
デシウス
 フハハハッ! さあ、決着をつけようではないか、王子!
 貴様を殺し、我輩の力の一部としてくれるわ!
 全軍、突撃! 王子軍をここで討ち滅ぼすのだッ!!
#endregion(17:戦闘中)
//==================
#region(17:終了時)
サヨ
 あいたたた……。
 ムチャしすぎたわね……。
 鎧が無ければ危なかったわ。
暗黒騎士の手下
 と、突撃兵の中から人間が……!?
 いや、人間が化けていたのか……。
 倒されても存在が消えない訳だ。
サヨ
 ちょ、ちょっと! そう言うあなたの体が
 どんどん消えていってるじゃない!
 なんとかしなきゃ……!
暗黒騎士の手下
 いや、良いのだ……我らリビングアーマーは死を迎え、
 怨念だけが鎧に宿った魔物。
 あるべき死を迎えるだけだ……。
 
 前団長もデシウス様も、
 我ら怨念から生まれた亡者に目的を与えて下さった。
 団長の力となれたのなら本望……。
サヨ
 ――とまぁデシウス達暗黒騎士団には、
 騎士団なりの絆があったみたい。
 
 内部に潜入して分かったんだけど、
 デシウスは、部下に慕われていたんだよね。
 デシウスも部下を思いやる気持ちを持っていた。
 
 だけど、彼は、そんな部下を自分の力の糧とした。
 何が彼をそうさせたのか……。
 そこまではわたしにも分からなかったわ。
 
 暗黒騎士団はデーモンから命令されて
 王子を狙ってたみたいだけど、デシウス個人が
 力を追い求める理由は別だったのよね。
 
 デシウスが力を求める理由を察せる出来事も
 この後起こったけど……。
 
 あ、でも次は華の国の戦いの話をさせてね。
 昔から順番に記憶を思い出してるから。
#endregion(17:終了時)
//==================
#endregion(17:全体)
//=========================
#region(18:邪仙郷の罠(記憶))
//==================
#region(18:開始時)
サヨ
 わたしは王子が英雄の末裔、王に相応しい人間かを
 見届けるために尾行してた訳なんだけど……。邪仙が
 支配する華の国はその逆。まさに悪逆の都だったわね。
 
 あの時は魔物退治の遠征中に妖虎仙の娘、
 メイリンに奇襲された事から、
 妖虎仙が支配する華の国へと遠征したのよね。
 
 でも、あの戦場……邪仙が支配する華の国の都には、
 邪仙、屍解仙の罠が張り巡らされていた。
 
 死体を弄ぶ邪仙、屍解仙。わたしが見てきた
 支配者の中でも、あんな邪道は初めて見た。
 だから、すごく印象に残ってるわ。
 
 ――さて、キョンシーに変装して紛れ込んだけど。
 この服装、結構カワイイわね。
 ぴょん……ぴょん……と、いけないいけない。
 
 変装は完璧とは言え、
 怪しまれる行動は避けないとね。
 ……あら、あそこに見えるのは。
メイリン
 父様、王子たちが来たみたい。メイリンも頑張るよ!
 父様仕込みの槍術で、王子たちをやっつけちゃうから!
妖虎仙
 わしの秘術で周囲の妖気を取り込んだ今、
 お前が出ずとも王子軍など蹴散らしてやるわ。
 邪魔はするなメイリン。
メイリン
 父様……。
妖虎仙
 ふん、お前の未熟な槍など役に立たぬ。
 ……この戦いが終わったらもっと鍛えてやるから、
 覚悟しておくのだな。
メイリン
 ……うん!
 ……父様、やっぱりメイリンも戦うよ!
 ほんきのほんきの、本気で戦うから! 準備してくる!
妖虎仙
 む……また勝手に先走りおって……。
 屍解仙がキョンシーどもを残したまま
 姿をくらましているのが気にかかるが……
 
 ……まぁ良い、
 まずは王子どもの命貰うとするかのう。
 ……妖虎ども、行くぞ!
#endregion(18:開始時)
//==================
#region(18:終了時)
妖虎仙
 ――ぐァッ……はぁ、はぁ……。
 こ、これでも勝てぬとは……王子め……。
 その覇気……真の英雄であったか……。
屍解仙
 妖虎仙よ。
 まさか、妖気を取り込むぬしの秘術でも敗れるとはのぅ。
 さて、この機を待っておったぞ……死ねぃッ――!!
妖虎仙
 ……ぐ、うぅ……し、屍解仙め……。
 これが貴様の……邪仙郷の奴らのねらい、か……。
 め、メイリン……にげろ……おまえ、だけ、は……。
メイリン
 父様……? 父様ぁぁ――ッ!!
サヨ
 ――王子が妖虎仙を倒した直後、潜んでいた屍解仙は
 仲間だった妖虎仙を殺した。あの戦い自体、
 屍解仙が妖虎仙を裏切り、殺す為の罠だったのよね……。
 
 人の気持ち、魂、肉体まで弄ぶような卑劣な奴ら、
 許せないわ。ただ、そんな邪仙の手からメイリンを
 保護できたのはあの戦いで数少ない救いだったね。
 
 敵として戦った相手であっても、
 助けを求める者に助けの手を差し伸べる。
 まさに王の器と呼べるのかもしれないわね。
 
 王……と言うよりは部族の代表だけど。
 次はオークとの戦いの思い出ね。
#endregion(18:終了時)
//==================
#endregion(18:全体)
//=========================
#region(19:オーク勇者の挑戦状(記憶))
//==================
#region(19:開始時)
サヨ
 次の話はオークの部族長に挑戦された時の事ね。
 レーゼルさんを助けた時を超える、
 オークの大軍勢との大決戦。
 
 あの戦いは、オークに捕まったソーマさんが、
 オークからの言付けを
 預かってきたところから始まったのよね。
ソーマ
 ――王子、もうすぐオーク軍との戦いですね。
 もう一度、状況を確認してもいいですか?
 
 私が偵察中にオークさんたちに捕まってしまって……、
 オーク部族長から王子への言付けを伝える事を条件に、
 そのまま解放して貰いました。
 
 「王子よ、其方の度重なる武勇は聞いている。
 魔界でも名を轟かせている王子軍を打ち取ったとあれば、
 オレは部族長の長、大部族長になれるであろう。」
 
 「勝手だが、これはオレが大部族長になる試練でもある。
 魔物が領内に滞在していると噂になれば、
 其方も面目が保てないであろう。」
 
 「勝てばオレの『大部族長』への道が開ける。
 負ければ其方の領内から引き上げる。
 どちらが最強か、決闘をしようではないか。」
 
 ……オークさん達、凄く戦いを楽しみにしていました。
 100を超えるオークとの激しい戦いになると思います。
 王子、くれぐれも無茶はしないで下さいね!
#endregion(19:開始時)
//==================
#region(19:終了時)
サヨ
 オーク勇者と王子の一騎打ち。
 すごかったわ。戦いに目を奪われて、
 わたしはすぐにソーマさんに倒されちゃったけど。
 
 人を支配するためだけに、強さを求める支配者は
 沢山見てきたけど、この戦いの中で
 王子は違うんだって思った。
 
 正々堂々とオークの挑戦を受け止めた、
 王子の戦う姿を見て、
 王子の力は皆を守る為なんだって分かったの。
 
 こうして、オークの軍勢を魔界に退けて。
 次の戦いは妖怪総大将、ぬらりひょんとの
 決着の話ね。
#endregion(19:終了時)
//==================
#endregion(19:全体)
//=========================
#region(20:第二次妖怪大戦(記憶))
//==================
#region(20:開始時)
サヨ
 暗黒騎士団や妖虎仙のように、
 お互いに決戦に臨む事もあれば、
 思わぬ戦いで命を落とす事もある。
 
 妖怪総大将、ぬらりひょんを討ったのは、
 そんな戦いでの事だったよね。
ヒエン
 ――ぬらりひょん率いる妖怪軍団は
 この都に進軍したとの事。また、鬼の大将である
 酒呑童子も都にいるとの事でござる。
ヒバリ
 ……その割には、やけに静かね。
 都に妖怪が集まっているのは
 間違いないのに……。
ぬらりひょん
 飛んで火にいる夏の虫……。
 まさに、お前たちのことだと思わんか?
 のう王子。そして「鬼切」の担い手、ヒバリよ。
 
 覚悟しておけェ!!
 全員まとめて切り刻んでくれるわ!!
 出ろ! 妖怪ども! 百鬼夜行じゃあああ!!
#endregion(20:開始時)
//==================
#region(20:戦闘中)
ぬらりひょん
 ぐっ……鬼の奴らは何をしておるんじゃ?
 これ以上はさすがのわしも……!
四天王
 どうした、ぬらりひょん?
 まだ鬼が助けにくるとでも思っておるのか?
ぬらりひょん
 ――なッ、ど、どういうことじゃ!?
 鬼の援軍と王子軍を攻める手はずじゃろうが!
四天王
 オマエはここで死ぬんだよ、ぬらりひょん。
 そうすれば酒呑童子様が妖怪の頂点に君臨される。
 ククク……最初からこうなる運命だったのよ。
 
 我ら四天王が復活を果たした今、
 お前はもう用済みなのじゃ!
 ガーーッハッハッハッハ!
ぬらりひょん
 裏切った……だと?
 おのれ……。
 おのれェェェェェェェェェェェェェぇええ!!
#endregion(20:戦闘中)
//==================
#region(20:終了時)
ぬらりひょん
 わしが……こんなところで……逝くことになるとは……。
 だれか居らぬか……この気配、餓鬼……か?
 わしの、妖怪総大将、最後の頼み、聞いてくれるか……。
サヨ
 餓鬼? 変装はもう解けてるんだけど……?
 ……あなた。もう、目が……。
ぬらりひょん
 シノに、我が娘に……この長ドスを渡してくれんか……。
 一言……。夢の道半ばで逝くわしを許してくれ、と……。
 ……頼む……。
サヨ
 ……こんな状況じゃ、断れないでしょ。
 ……わかったわ。
ぬらりひょん
 カスミ……姉であるシノに……、
 お前の事を伝えてやれぬ父を、許せ……。
ヒバリ
 王子、こっちだ!
 妖怪総大将、ぬらりひょん。
 ……何か、言い残す事はある?
ぬらりひょん
 くちおしや……。くちおしや……。
 妖怪の総大将たるわしが……。
 鬼なんぞに……。裏切られるとは……。
ヒエン
 力を使い果たしたか。
 これではもう助からぬ。
 年貢の納め時でござるな。
ぬらりひょん
 人間ふぜいが……畜生……
 妖怪の……理想郷をつくる……。
 わしの夢……ここで終わり……か……。
 
 ……。
サヨ
 ――この戦いで妖怪の総大将、ぬらりひょんは戦死。
 そしてぬらりひょんを罠に陥れた酒呑童子たち鬼を
 封印するため、ヒバリさんは先行したのよね。
 
 わたしはこの後、シノさんを探し出して、長ドスを届けて、
 それからヒバリさんと王子たちを追いかけて。
 ……追いつくのは、それはもう大変だったわ。
 
 まぁ、王子の戦いを見届けるってきめたから。
 一度決めた以上、意地でも付いて行くんだから。
 この次、酒呑童子との戦いにもね。
#endregion(20:終了時)
//==================
#endregion(20:全体)
//=========================
#region(21:鬼の頭領(記憶))
//==================
#region(21:開始時)
サヨ
 ぬらりひょんが没した後、
 王子たちが酒呑童子と戦ったあの日。
 
 王子たちが酒呑童子に迫る直前、
 ヒバリさんは、果敢にも一人
 酒呑童子へと挑んでいたわ。
ヒバリ
 ――酒呑童子! 「鬼切」を背負うものとして、
 今こそ使命を果たす……覚悟ッ!
酒呑童子
 大太刀の「鬼切」をこうも早く操るだとッ!?
 こ、小しゃくなァッ! ……ぐおおォッ!?
ヒバリ
 肩口に入った。私の斬撃の方が、
 貴様の防御より速い……貰ったわ!
迅雷の四天王
 酒呑童子様! 我らに分け与えし力、
 今こそ御身にお返しします!
ヒバリ
 頭の防御が甘い! ……う、嘘!?
 「鬼切」が完全に入ったのに!?
酒呑童子
 ……くっくっくっ。バカがァ!
 力が戻った今の俺は不死身よ!
 頭を貫かれた程度、どうと言う事もないわァッ!
ヒバリ
 ……ぐハッ!?
酒呑童子
 ……ふん、鬼切の使い手とは言え
 所詮小娘か。俺様の敵じゃなかったな。
 ガッハッハ!
迅雷の四天王
 お力が戻られた様で何よりです、酒呑童子様。
 「鬼切」の娘が切り込んできた時は驚きましたが、
 今の酒呑童子様には蚊ほどの相手でしたな。
重水の四天王
 ……酒呑童子様!
 ぬらりひょんを倒した王子という人間が、
 こちらに向かって来ています!
酒呑童子
 妖怪総大将のクソジジイを倒した奴らだなァ!?
 肩慣らしには丁度いい! ここで俺が相手をしてやる。
 さあ、かかってこい人間どもォオオオッ!!
ヒバリ
 ……王子、ごめんなさい……。
 酒呑童子は力を取り戻してしまったわ……。
 私では到底太刀打ちできな……痛ッ……。
ヒエン
 ヒバリ殿……!
 その深手は……!
 早くこちらへ。酒呑童子は私達がなんとか――。
ヒバリ
 王子、今の酒呑童子は「鬼切」をもってしても、
 全く歯が立たなかった……。人があの一撃を
 食らったらひとたまりもないわ。慎重にね……。
#endregion(21:開始時)
//==================
#region(21:終了時)
サヨ
 もしあの時王子たちが間に合わなければ、
 ヒバリさんは殺されてたかも。無理を承知で割り込もう
 かと思ってたから、本当にホッとしたよ。
 
 戦いの末になんとか鬼たちを倒したものの、
 酒呑童子を封印することはできなかったのよね。
 結局、酒呑童子には逃げられちゃった。
 
 でも、ヒバリさんを正式に仲間に加えて、
 王子軍もさらに強くなったのよね。
 しばらく後にまた酒呑童子とは戦うんだけど……。
 
 まぁ、それは別の戦いの話だし。
 何はともあれ、
 こうして、第二次妖怪大戦は終わったのよね。
#endregion(21:終了時)
//==================
#endregion(21:全体)
//=========================
#region(22:帝国の治癒士(記憶))
//==================
#region(22:開始時)
サヨ
 魔神ベルゼビュートの広めた疫病で、苦戦を強いられる
 こともあったわね。病自体は白の帝国が
 提供してくれた抗体で解決したけれど。
 
 交換条件に出されたのは、王国領内に潜む
 ベルゼビュートを自軍で討伐したい帝国の為、
 白の帝国軍の領内行動を認めること。
 
 王国を敵対視している帝国からの交換条件だったから、
 どんな条件を出されるかとすごく心配だったっけ……。
エリアス
 ――王子、どうして来たのですか?
 私は邪魔をしないでくださいと言いましたよね?
ドワイト
 エリアス殿、ここは王国領内です。
 彼らが協力してくれるというのなら、
 こちらに不利益はないのでは……?
ソラーレ
 そうですよ、エリアスさん。
 ベルゼビュートに困ってる国同士、協力しましょう。
クラーラ
 えっと、その……あたしも、
 王子様たちと協力した方が良いと思います……。
エリック
 ……前方に敵を確認したぜ。
 俺はどっちでも良いけど、
 方針だけは決めといてくれねーか。
エリアス
 ……分かりました。
 王子軍と共同して敵にあたりましょう。
アンナ
良かった。
どうにか、共同で行軍ができそうですね、王子。
エリアス
 ですが、帝国軍は貴方達と馴れ合う気はありません。
 それは忘れないでください。
ケイティ
 帝国のこちらに対する態度は
 相変わらずのようですけどね……。
#endregion(22:開始時)
//==================
#region(22:戦闘中)
エリアス
 あの巨大なハエのような魔物は
 ベルゼビュートの眷属ですね。
 
 あの敵の周囲は病原菌で重度に汚染され、
 抗体を服用していても体力を奪われます。
 回復に困らない陣形で迎え撃ちましょう。
#endregion(22:戦闘中)
//==================
#region(22:終了時)
サヨ
 ――この後、最終的には帝国と共同で
 魔神ベルゼビュートを魔界に撃退したのよね。
 
 戦いの後で調べたんだけど、この時、
 帝国軍は王国に攻め入る意思は無かったみたい。
 対魔神に向けた軍備しかなかったもの。
 
 昔、帝国領内に現れたベルゼビュートに
 街が襲われ、病で沢山の犠牲者をだしたんだって。
 抗体薬はその時に得られた薬みたい。
 
 それに、ベルゼビュートの眷属が直接、
 白の皇帝を襲撃した事もあるみたいなの。
 
 帝国軍が自分たちの手で魔神を討つ事に
 こだわってたのは、君主を侮られた事に対する、
 忠誠心の高さからなのかも。
 
 王子に何かあったら、王子軍のみんなも全員で協力して
 解決を目指すと思う。だって、皇帝に負けないくらい、
 王子も仲間のみんなに慕われてるものね。
 
 病も解決して、次の話は天使の軍勢、
 天使兵団と王子が戦った時の事ね!
#endregion(22:終了時)
//==================
#endregion(22:全体)
//=========================
#region(23:天使兵団の集結(記憶))
//==================
#region(23:開始時)
サヨ
 天使が人間を滅ぼそうとしてるなんて、
 最初は自分の目を疑ったわ。
 
 神様は、悪を罰するもの。そういう教えは、
 どこにでも言い伝わってるものだもの。
 
 天使達と戦おうとする王子をみて、
 やっぱり王子は悪者なんじゃないかって、
 信じかけていた気持ちが揺らいだ事もある。
ニエル
 ――王子、もうすぐ天使兵団との決戦だね。
 私たち天使は遠い昔、神から「人間を滅ぼせ」って
 命令を受けている。
 
 中には神に逆らい、堕天使となる天使も居るけど……。
 あの軍勢の天使は冷酷な天使たちしか居ない。
 話し合いとか、分かり合うとかはできないと思う。
 
 神の名の下に、人間を滅ぼしに来る。
 でも、神の命令だからって一方的に
 人間を滅ぼすなんて間違ってるよ。
 
 だから王子、天使たちが人間を襲う前に、
 ここで食い止めよう。
#endregion(23:開始時)
//==================
#region(23:戦闘中)
アンナ
 巨大な天使の像……!?
ケイティ
 天使製のゴーレム……と言ったところでしょうか。
 あの巨体に装甲、悔しいですが、
 剣で戦うのは無謀でしょうね。
ロイ
 ここは魔術の力の出番のようですな。
 魔法使いや魔法剣士の攻撃を集中し、
 動き出す前に痛手を負わせておくのが良さそうですな。
#endregion(23:戦闘中)
//==================
#region(23:終了時)
サヨ
 結局天使達の目的は、王子ではなく、
 人を滅ぼす事に向かっていた。
 
 天使から人々を守っている王子を見て。
 ……わたしは、やっぱり王子を信じたいって思ったの。
 
 神様の考えなんて判らないわ。
 でも、目の前にいる人をただ助けたいって、
 ただそれだけの為にいつだって全力で戦う……
 
 ……そんなお人好しの王子の方が、
 よっぽど信じる価値があるって、そう思った。
 
 ……で、でもこの時はまだ、完全に信じてた訳じゃ
 ないんだからね! キチンと王子を見極めるには、
 もっともっと王子を知らなきゃいけないでしょっ!
 
 さぁ、次は魔法都市での戦いの話をさせてちょうだい!
#endregion(23:終了時)
//==================
#endregion(23:全体)
//=========================
#region(24:付与魔術師と妖魔軍団(記憶))
//==================
#region(24:開始時)
ゴブリン(サヨ)
 ――ギャギャ! ……と、こんなものかしら。
 ゴブリンたちは細かい事を気にしないから、
 変装も紛れ込むのも楽で良いわ。
 
 魔法都市の付与魔術師、メレディスさんの
 魔導書をゴブリンクイーンが強奪したのよね。
 
 王子の戦いを見届けるのとは別に、
 盗られた物を取り返すのは義賊としての使命だわ。
 魔導書を取り戻すため、まずクイーンを探さないと。
ゴブリン博士
 うム、なんとか予算の範囲内に収まったナ。
 今回はクイーン様の唐突な提案もなク、
 なんとか予算に余裕も出来そうダ。
 
 流石ワタクシ。早速、クイーン様に報告ヲ……。
 ン? そこのゴブリン兵士。
 お前……何か大きくナイカ?
ゴブリン(サヨ)
 ギクッ!
 ……ギャギャ!
 ニンゲンタベタ!
ゴブリン博士
 ……ふム、人間を食べテ大きくなるとは、
 ゴブリンの鏡だナ。この戦いの後、
 リーダーに昇格させてやろウ。
ゴブリン(サヨ)
 ギャギャ! ショウカク! ショウカク!
 (鋭い観察眼だわ……。さすがゴブリン博士。
 彼をごまかし続けるのは無理そうね……)
ゴブリンクイーン
 あら、博士。王子軍を殺す支度はできたのかしらぁ?
ゴブリン博士
 ハッ、ゴブリンクイーン様。
 騎獣戦車の準備が出来ましタ。ゴブリンたちにハ、
 魔法が付与された武器を持たせておりまス。
ゴブリンクイーン
 いいタイミングじゃない。ほら、そこのゴブリンも、
 何をコソコソとワタシの魔導書に近づいているの?
 早く出撃なさい。……でないと、処刑するわよぉ?
ゴブリン(サヨ)
 ギャ、ギャギャ!
 (……悔しいけど、ここは一旦言う事を聞くフリをして、
 またチャンスを狙うしかないわね)
ゴブリンクイーン
 さぁ、出撃よぉ。
メレディス
 ――な、なんですか、あのクイーンの乗り物は!?
ゴブリン博士
 ふふふ。アレこそ騎獣戦車のパワーに
 クイーン様の遠距離魔法が備わった
 最強の騎獣戦車ダ!
メレディス
 強そうな相手ですけど……、
 絶対、わたしの研究成果である魔導書を
 ゴブリンクイーンから取り戻すんだから!
#endregion(24:開始時)
//==================
#region(24:終了時)
メレディス
 王子、やりました!
 魔導書を取り戻しましたよ!
ゴブリン
 クイーンサマ!
 マホウガキエタ! マホウガキエタ!
ゴブリンクイーン
 あんな面倒な術は魔導書を見なければ使えないわ。
 ゴブリン軍の強化の為に、また新たな手を考えなくちゃ。
ゴブリン博士
 ご心配には及びませン。あの様な魔術などなくとも、
 ゴブリンクイーン様には私の頭脳がありまス。
 貴方様はただ私に命じて下さるダケでいいのでス。
ゴブリンクイーン
 頼もしいわねぇ♪ それじゃあすぐに新たな
 武器を造りなさい。それもとびきり凶悪なヤツをね。
ゴブリン博士
 ハッ! ……あの、クイーン様。
 新たな武器を作るにあたってなのですガ、
 もう少し予算を上げて頂く事等ハ……。
ゴブリンクイーン
 追加予算? そうねぇ。
 じゃあ、魔法都市に来る途中の沼地で手に入れた
 この黄金の鎧を一つあげるわぁ。
ゴブリン博士
 ハッ……。あノ、これだけでございますカ?
ゴブリンクイーン
 ウフフ。予算を抑えるのも貴方の使命よ。
 次に作るのはとびきり凶悪な武器、でお願いね?
 さぁゴブリン達、帰るわよ。
ゴブリン博士
 ……ガンバリマス。
サヨ
 ――結局、わたしが魔導書を盗み出すより、
 王子たちがクイーンを倒して取り返したのよね。
 わたしは力になれなかったけど、結果的に良かったわ。
 
 この時、わたしなんかが力を貸そうとしなくても、
 王子は大丈夫なんだな、
 って思ったら、少し寂しい気持ちになっちゃった。
 
 この頃から、王子は悪い人じゃない、一緒に
 魔物を倒さないといけないんだって感じてたけど……。
 
 わたしに出来る事と言えば変装くらい。
 そんなわたしが、今更、姿を現して協力するとは
 言い出せなかった。
 
 だから、影から王子を支えようと思って、
 王子たちを追いかけるようになって……そんな頃、
 鬼の大将、酒呑童子と再戦したのよね。
#endregion(24:終了時)
//==================
#endregion(24:全体)
//=========================
#region(25:ぬらりひょんの娘(記憶))
//==================
#region(25:開始時)
サヨ
 さて、次の戦いの話ね。次の出来事と言えば……、
 あのぬらりひょんの娘、シノさんが
 王子を訪ねてきたのよね。
 
 父の仇は直接手を下した王子たちじゃなく、
 父の信頼を裏切り、戦死を強要した鬼の一派。
 そう納得して訪れたシノさんは王子に協力を求めた。
 
 わたしは父の戦死を知って悲しむシノさんの姿を
 知ってるの。だから、りんと立ち直った姿を見て、
 良かったって思ったよ。
 
 王子も妖怪と共存する道を選んで、シノさんが
 父の後を継げるように、一緒に東の国へ。
 そこで、鬼の軍団と遭遇した――。
シノ
 ――ついに見つけたぞ……酒呑童子。
 今こそ、父の無念、晴らさせてもらう……。
酒呑童子
 父の無念だとぉ? ……その妖気、ぬらりひょんの娘か。
 ったく、妖怪ってのは何奴も此奴も馬鹿ばっかりだぜ。
 お前もあのクソジジイ同様ぶち殺して――
シノ
 ――黙れ、鬼風情が……。
酒呑童子
 なッ!? 奴の姿が見えねぇ!? 気配もない……。
 一体どういう――グ……ァァ……ァァ!
 い、いつの間に……俺の懐に……。
シノ
 ……さらばだ。首級は頂いていくぞ。
 さて、後は王子たちと協力して、鬼の残党を
 退治すれば終わりですね。王子、今参ります!
酒呑童子の首
 …………。
#endregion(25:開始時)
//==================
#region(25:戦闘中)
酒呑童子の首
 くっくっくっ……。
 首を落とした程度で、
 俺を殺したつもりかぁぁぁッ!?
アンナ
 ヒッ……!
 く、首が……酒呑童子の首が、喋っています……!
酒呑童子の首
 お前らァ……絶対に許さんぞぉぉぉぉッ……!!
#endregion(25:戦闘中)
//==================
#region(25:終了時)
酒呑童子の首
 チクショウ……。やはり身体と切り離されたままでは、
 本気は出せそうにないぜ……。
 四天王達よッ! ここは一度退くぞ!
重水の四天王
 は、はいィッ、酒呑童子様!
 た、ただちに撤退いたします!
酒呑童子の首
 おいっ!! 馬鹿野郎ッ!!
 俺の首も持って行かんかァッ!
 こちとら今は身体がねぇんだ、それぐらい察しろ!
重水の四天王
 ヒ、ヒィィッ……!?
 も、申し訳ありません!!
サヨ
 ――トドメはさせなかったけど、
 父の仇を追い払い、各地の妖怪を配下に集めて。
 無事、シノさんが新しい妖怪総大将になったのよね。
 
 ……首だけで生きる上、首無しの体が暴れまわるなんて、
 酒呑童子は本当に化け物ね。
 あんなの間近で見た時は、流石にビックリしちゃった。
 
 でも、王子の近くに居ると、
 わたしの知らなかった新しい世界が見れるの。
 この時みたいに、怖い出来事もあるけど……。
 
 妖怪と人間が手を取り合う姿みたいに、
 未来に希望が持てる瞬間を見せてくれる。
 それって、本当にすごい事だわ。
 
 ……って、感動しきりでも仕方ないわね。
 次の話にしましょうか。次は魔界蟻の女王が
 王国に攻めてきた時の事ね。
#endregion(25:終了時)
//==================
#endregion(25:全体)
//=========================
#region(26:逆襲の魔界蟻(記憶))
//==================
#region(26:開始時)
サヨ
 過去に一度は撃退した魔界蟻が、
 新しい女王に率いられて
 王国に攻めてきた時の事ね。
 
 魔界蟻の女王のフェロモンは種族や外見に関係なく、
 あらゆる男性を虜にしてしまう、
 恐ろしい力を持っていたのよね。
 
 幸い、過去に一度戦った後にフェロモンへの抗体を
 準備できたから、王子や王子軍の男性が虜になる、
 なんて事態は避けれたのは幸いだったわね……。
テルマ
 ――王子、魔界蟻の軍勢がこの辺りで
 目撃されました。
 
 魔界蟻は地面は当然、壁を這って移動もできます。
 蟻の侵攻ルートには注意してください。
 
 また、魔界蟻の軍勢の中には
 オークやマーマンの姿も混ざっているとの
 目撃情報があります。
 
 オスの魔物ばかり……ですね。
 女王蟻のフェロモンに誘惑された魔物と
 魔界蟻の混成軍が相手となります。
 
 大量の敵との交戦が予想されますので、
 効果的な部隊運用を心がけてくださいね。
 それでは出陣しましょう、王子!
#endregion(26:開始時)
//==================
#region(26:終了時)
サヨ
 ――あの時は王子たちの助けになるかと、
 蟻の群れに潜入してたの。
 魔界蟻の弱点を探ろうと思って。
 
 フェロモンの洗脳を解除できれば、
 魔物の軍勢も解散させられるかも、と考えてたんだけど。
 フェロモンは女王を倒すしか止める手立てが無かったの。
 
 女王蟻はいつも取り巻きを連れていたから、
 近づく事すら出来なかったし、そうしてる間に戦闘が
 始まって、戦場に駆り出されちゃうし。
 
 今回も、王子達が女王蟻を倒す姿を見てるだけだった。
 陰から支えようって思ってるのに、
 わたしは何もできなかった……。
 
 ……無力感、かぁ。
 デシウスもこんな気持ちを感じたのかもしれないわね。
 そして、ただひたすらに力を求めるようになったのかも。
 
 暗黒騎士団を崩壊させ、部下を犠牲にしてまで、
 デシウスが力を求めていた理由。
 それが垣間見えたのが、次の戦いだったよね。
#endregion(26:終了時)
//==================
#endregion(26:全体)
//=========================
#region(27:魔物の集結(記憶))
//==================
#region(27:開始時)
アンナ
 ――アイギス様のお告げによって
 常闇の聖霊を追ってきましたが……、
 デシウスも聖霊を追っているようですね。
 
 デシウスはアイギス様の姉神様「ケラウノス」の名前を
 口にしていましたが、一体どんな関係が――。
王子
 ――……。
アンナ
 急に軍を止められて、どうされました、王子?
 あ、あれは……デシウス?
 それに隣にいる女性は一体。
デシウス
 追い詰めたぞ、ケラウノス!
 なぜ、お前を信仰していた我輩の祖国を滅ぼした!?
 なぜ、魔物の大群を呼び寄せたのだ……! 答えろ……!
ケラウノス
 神ならば人間の願いを聞き入れるはずなどと、
 思いあがった愚か者たちに天罰を下しただけです。
 
 でも安心なさい。お前の国の人間だけではなく、
 いずれ全ての人間を滅ぼしてあげます。
 さあ、常闇の聖霊よ、人間を滅ぼす為に協力なさい。
常闇の聖霊
 うッ、ぁ……ぁぁ……。もう……いや、だ……。
 やめてくれ……。
 もう、われに力は……残って、いない……。
ケラウノス
 常闇の聖霊、力を使い果たしましたか。
 では代わりに、聖霊の力で強化しておいた
 魔物をこの地に召喚し、駒としましょう。
デシウス
 くそっ……。ケラウノスのやつめ、
 魔物を召喚し始めている……! 我輩の祖国にした事と
 同じことを……! くそったれぇ……!
モーティマ
 お、おいっ! デシウスのヤツ、鎧を召喚して……!
 一人であの軍勢に挑むなんて無謀だぜ!
 って王子!?
王子
 ……!
ケラウノス
 おや、愚昧とは言え、女神の加護を受けし男が
 暗黒騎士と肩を並べるとは、面白い取り合わせですね。
 一緒に滅ぼせば好都合と言うもの。では、死になさい。
#endregion(27:開始時)
//==================
#region(27:終了時)
ケラウノス
 現世代の英雄、これほどまでの力とは……。
 まあいいです。地上を滅ぼすには、まだいくらでも
 やりようはあります。ここは退くとしましょう。
ケイティ
 消えてしまいました……。
 そんな、せっかく出会えた女神が、
 私たちの敵となるなんて……。
デシウス
 はぁ……はぁ……。
 お、おのれ……逃がしたか……。
 
 我輩は一足先に退かせてもらうとしよう。
 まだまだ我輩には、やらねばならぬことがあるからな。
 もっと力を、神をしのぐ力を手に入れなければならん。
 
 貴様らとの共闘など、次は無いと思うことだ。
 貴様らが窮地に陥っていても、協力などしてやらんぞ。
 絶対だからな! では、さらばだ!!
サヨ
 ――デシウスの祖国はケラウノスを信仰していた。
 だけど、信じていた神に裏切られ、祖国を失って……。
 無力感に苛まれて、力を求めるようになったと思うの。
 
 この戦いの途中から、もしかして、と思ってたわ。
 天使兵団との戦いの時、天使の中に潜入してたでしょ?
 あの時、幾つか分かった事があったの。
 
 ――アイギス様の姉神「ケラウノス」が、
 人間を不浄な存在として、天使に人間を滅ぼすよう命じ、
 幾つもの国を滅ぼしている事。
 
 滅ぼされた国の中には、ケラウノスの信仰国もあって、
 ケラウノスを降臨させた結果、国を滅ぼされた事。
 天使兵団との戦いの頃は信じられなかったけど……。
 
 この戦いの道中で、ケラウノスと戦う前から、
 デシウスがケラウノスに対して仇のように言ってた事。
 デシウスの執念を見て、神は敵なんだって、感じたわ。
 
 デシウスは神に対抗できる力を求めている。
 信じていた神に裏切られ、大事なもの全てを失った
 彼の悲しみや無念さは計り知れないわ。
 
 デシウスも、そして王子も
 それぞれが正しいと思った道を進んでる。
 
 そして、お互いの道を譲れないなら……、
 戦うことだってある。
 
 英雄の末裔である王子が選んできた道のり、
 その一つの答えともいえる区切りを
 わたしが見届けるのももうすぐの事だったわ。
#endregion(27:終了時)
//==================
#endregion(27:全体)
//=========================
#region(28:カボチャの魔導鎧兵(記憶))
//==================
#region(28:開始時)
サヨ
 最後の話をする前に、ちょっとだけ休憩しない?
 ……もうすぐわたしの話も終わりと思うと、
 名残惜しくなっちゃって。
王子
 ……。
サヨ
 ……え? 休憩にリンゴ飴?
 流石王子、気が利くじゃない。
 そういう所も、貴方の人気の秘訣なのかもね。
 
 このリンゴ飴がなければ、
 こうして王子と話す事もなかったのよね。
 不覚だったけど、良いきっかけだったかも。
 
 このリンゴ飴、可愛いし美味しい……
 ……これをあのモーティマさんが作ってるって
 いうのは凄いギャップね。
 
 モーティマさんと甘いモノと言えば、
 カボチャの軍勢が王子の魂を
 狙ってきた事もあったのを憶えてる?
 
 モーティマさんがカボチャを食材にしてやるって
 凄んでた戦いね。
パンプキンキング
 ――ハイハーイ! カボチャ達ー!
 ビフロンス様復活のため、王子の魂が必要カボ。
 絶対にこの戦いで奪うカボ! お前も戦うカボ!
エーリカ
 カボッ!
カボチャの魔物(サヨ)
 カボッ!
 
 (エーリカさんはカボチャたちに洗脳されてるだけ。
 隙を見て助け出したいけど……敵に囲まれている
 状況だと辛いわね。チャンスを伺うカボよ)
#endregion(28:開始時)
//==================
#region(28:終了時)
モーティマ
 観念しろカボチャども!
 それ以上、悪さをするなら食っちまうからな!
パンプキンキング
 フシュゥ……さすが、王子カボ。
 このままじゃ刈り取られて食用にされるカボ……。
 カボチャ達、一時撤退カボ!
エーリカ
 カボッ!
パンプキンキング
 いざという時は、最後の手段を使うしかないカボね。
 王子の魂がなくとも、カボチャの魔物の魂2体を生贄に
 捧げれば、ビフロンス様の精神体を召喚可能な筈カボ。
 
 沢山の魂を捧げれば、
 より強固な召喚も可能になる筈カボ。
 
 人間の魂は、魔物数体分の
 魂に匹敵するカボ……そこのカボチャ、あの人間に
 逃げられないよう、ちゃんと見張っておくカボよ!
カボチャの魔物(サヨ)
 カ、カボッ!
 (魂を捧げる? ……このまま
 ただ見ている訳には行かないみたいね)
サヨ
 ――この後、カボチャたちは自分の魂を生贄に
 ビフロンスの精神体を召喚する事になる。あの時は、
 エーリカさんが巻き込まれなくて本当に良かった。
 
 あのまま戦場に倒れていたら、カボチャ達と一緒に
 魂を捧げられてたかも。倒れてるエーリカさんを
 戦場の外に運ぶの、すっごく大変だったんだから。
 
 あそこでわたしに出来たのは結局そのくらい。あの時
 王子達がエーリカさんを見つけてくれて、本当に良かった。
 エーリカさんを助けてくれて、ありがとね王子。
 
 ……さ、残すは最後のお話よ。
 王子にとって……ううん、王子だけじゃない、
 この世界に生きる人にとって、凄く大きな出来事。
 
 集いし希望が、新たな奇跡を照らし出す。
 二人の神器の担い手が出会った時の話よ。
#endregion(28:終了時)
//==================
#endregion(28:全体)
//=========================
#region(29:女神の封印(記憶))
//==================
#region(29:開始時)
サヨ
 あなたの戦いを見てきた思い出話もこれで最後。
 わたしの話にここまで付き合ってくれて、ありがと。
 
 王子を本当に英雄なんだと思った一つの区切り。
 最後の話は白の帝国兵の救援依頼がきっかけ
 だったわ――。
アンナ
 ――『悪霊の迷宮』の奥まで来ましたね、王子。
 白の帝国の使者、ディルクさんの話では、
 皇帝が出撃したきり、数日が経過しているとの事です。
ディルク
 敵対した事すらある我が帝国へのご助力、感謝の言葉も
 ありません。女神アダマス様がこの地に封印されている
 事を知り、陛下自らがご出陣されたのですが……。
アリサ
 幾多の戦士が帰らぬ者となった『悪霊の迷宮』……。
 それでもアダマス信仰国の帝国からすれば、
 アダマス様復活は悲願ですものね。
ディルク
 その通りです。ですから皇帝にして帝国最強の兵である
 陛下が出陣されたのですが……。
 あ、あの像は……!? まさか!
ケラウノス
 ふふ……よくぞここまで辿りつきました、不浄な人間達よ。
 私がこの地に封印したアダマスを解放しに来たのですね。
 ……解放したいと言うなら、封印を解いてあげましょう。
アダマス
 うッ、ぅぅ…………こ、ここは……いったい?
ケラウノス
 久しぶりね、アダマス。滅び行く人間達の無残な姿を、
 我が愚妹であるアイギスとあなたに見せつける為、
 今こうして、あなたの封印を解いたのです。
アダマス
 姉様……未だにその様な事をお考えなのですか!?
 やはり今度こそ私の神器によって、
 その悪心を御身共々斬らねばならないようですね。
ケラウノス
 笑わせないで、アダマス。あなたの神器もその使い手も、
 今や我が手中。そして精神体でしかない今の貴方は
 神の力を揮う事もできない愚神にすぎません。
アダマス
 そんな……どうして、この様な仕打ちを……。
 どうか目をお覚まし下さい、姉様……。
 今ならばまだ……まだ、間に合います……。
ケラウノス
 ふふ、愚かで不浄なる人間達を滅ぼす事に、
 何をためらう必要があるというのです、アダマス?
 目を覚ますのは貴方の方です。
 
 さて、汚らわしい人間共の相手は、
 我が僕に任せるとしましょう。さぁ姿を現しなさい……。
 我が意を体現せし忠実なる闇の僕……魔王よッ!
アダマス
 あれは……そんなまさか、
 魔王を召喚したというの!?
 魔王は、アイギス姉様が封印したはず……なのに……。
アンナ
 魔王がケラウノス様の僕!?
 神様は私たち人間を
 本当に滅ぼそうとしているというのですか……!?
アダマス
 あの姿……魔王を見間違えるはずがありません……。
 ですが、未だ魔王は完全体ではないようです。
 今ならば、何とか退ける事も出来るかもしれません!
ケイティ
 王子、急ぎ迎撃しましょう!
 癒し手の皆さん、
 回復魔法の準備はどうなっていますか?
アリサ
 ケイティさん、ダメです……。私たち癒やし手の力は
 悪霊に妨害された状態のようです……。
ケイティ
 悪霊が戦士たちの力を封じる『悪霊の迷宮』……。
 ここでは癒し手の皆さんが力を封じられているようです。
 王子、兵の体力に注意しつつ指揮を執ってください。
#endregion(29:開始時)
//==================
#region(29:終了時)
ケラウノス
 く……英雄の末裔め……。
 力を失ったアイギスの加護ごとき、
 取るに足らないと思っていたが……。
ケイティ
 王子、魔王とケラウノスが退いていきます!
アダマス
 ケラウノス姉様は、皇帝を手中におさめていると
 言っていました。居場所は姉様が知っているはずです。
 私が先導します。ケラウノス姉様を追いましょう!
サヨ
 いたた……。王子たち、先に行ったみたいね。
 王子たちが『悪霊の迷宮』に向かうっていうから
 待ち構えてたら……まさか、魔王が復活するなんて。
 
 とにかく、急いで王子たちを追わないと!
#endregion(29:終了時)
//==================
#endregion(29:全体)
//=========================
#region(30:囚われの皇帝(記憶))
//==================
#region(30:開始時)
ゴブリンクイーン
 ウフフ……何て精神力なのかしら。
 ここまでワタシの催眠術をはね除けた人間なんて
 過去に一人もいなかったわ。
女王蟻
 生物として雄であれば何者であろうと魅了する
 妾のフェロモンにも抗い続けるとは……ふふ。
 帝国の皇帝……其方が堕ちる時が楽しみよのぅ。
皇帝
 黙れ……貴様らの様な愚物に、屈するものか……。
ゴブリン(サヨ)
 (皇帝は精神力で耐えているみたいだけど……、
 どちらの洗脳も常人だと数秒と保たない魅了の力。
 休みなしで攻められれば絶対に限界は来るわ)
 
 (一刻も早く、王子たちに来て貰わないと。
 ……こうなったら、危険だけどやるしかなさそうね。
 いくわよ、変化の術!)
インペリアルナイト(サヨ)
 ――こっちだ! 急いでくれ!
アンナ
 案内ありがとうございます。この広い迷宮で、
 逃げ延びた方と遭遇できたのは幸運でした。
 ……それにしても、酷い怪我ですね。
ケイティ
 その怪我で戦線で立つのは難しいでしょう。
 案内は安全な所までで大丈夫です、
 早く後方で治療を受けて下さい。
インペリアルナイト(サヨ)
 あぁ、そうさせて貰えると助かる。
 ……あとはこの道を真っすぐだ。
 どうか、皇帝を頼む!
皇帝
 ――ッ!!
 う………ぐ………あぁあ。い、意識……が……。
 ――女王……サマ。クイーンサ……マ……。
ユリアン
 お、おい……皇帝に寄り添ってる魔物達を見ろよ……。
 ゴブリンクイーンだぞ……それに、女王蟻も……!
 2人がかりで皇帝を自分達の奴隷にしたってわけかよ。
アダマス
 ケラウノス姉様……魔物の女王までも使うなんて……。
 王子、私の加護を受けた皇帝は強敵です。
 
 皇帝が持つ剣。アレはあらゆる護りを貫き、
 離れた相手さえ切り裂く我が神器です。
 戦う際は十分にお気をつけ下さい。
#endregion(30:開始時)
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#region(30:終了時)
王子
 ……。
皇帝
 ――貴様は……英雄王の末裔の王子、か……。
 なるほど……。
 俺はとんだ醜態を見せてしまったという訳だな……。
アダマス
 我が神器を受け継ぎし者よ。
皇帝
 その姿は、アダマス様……なのか!?
アダマス
 はい。如何にも私が女神アダマスです。
 この迷宮に長らく囚われていましたが、
 精神体の身とはいえ、こうして復活を果たしました。
 
 ですが、状況は悪化しています。
 我が姉ケラウノスが活動を開始しました。
 それと共に、魔王も復活の兆しを見せています。
皇帝
 なん……だと……。
アダマス
 地上界は絶望的といっても過言ではありません……。
 今や、アイギス姉さまも私も、
 力の大半を失ってしまいました……。
 
 わずかな望みがあるとすれば、
 二柱の神の加護を受けし者達。聡明な貴方ならば、
 もう全て理解しているのでしょう?
皇帝
 ……是非も無い。
 王子、どうやら貴様と協力せねばならぬようだな。
王子
 ……。(コクリ)
アンナ
 ち、ちょっと、王子!
 国同士の大事な取り決めです!
 相槌だけじゃダメですよっ!
皇帝
 ……ふ。気にするな。俺もお喋りは好きじゃない。
 王子、貴様と俺は何もかもが違うが、
 そこだけは気が合うかもしれんな……。
#endregion(30:終了時)
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#region(30:終了後 (ホーム画面にて))
サヨ
 ――英雄の血を引く王子と、白の帝国の皇帝。
 二つの神器の担い手が手を結ぶなんて、歴史的瞬間とも
 呼べる出来事よ。ほんとに、すっごい事なんだから!
 
 ……なのに、王子にとっては
 また一人大切な仲間が増えた、
 程度にしか思ってなさそうだったけど。
 
 ほんと王子って、何があっても王子なのね。
 あんなに大事な時でも、いつも通り。
 ……でもま、そこがやっぱり王子らしかったけど。
 
 まぁそんなこんなで、それからもずっと貴方を見て来た。
 王子を見定める……そんな名目は、
 とっくに忘れちゃってたけど。
 
 本当はずっと前から、今まで見て来た連中とは、
 違うのかもって、そう思ってた……けど、
 義賊として沢山の人を見てきたからかな。
 
 表の光が強い人ほど、裏の影は濃くなる。
 だから、王子みたいに裏表がない人なんて、
 いる訳がないって思ってた。
 
 絶対に裏の顔を見つけてやる!
 なんて躍起になって、ちょっかいかけようとした事も、
 本当はあったり……疑っちゃってほんとにごめん。
 
 でも、今は違うから。王子の事を、
 誰よりも近くでずっと見て来たから。
 貴方の事は、わたしが世界で一番知ってる。
 
 貴方は紛れもなく人類の希望よ……だから安心して、
 これからはわたしも貴方と一緒に戦う。
 いつだって、わたしが貴方を守るからね。
 
 それじゃ、わたしは影に戻るわ。
 でもいつでも傍にいるって事はわすれないでね。
 ……あ、誰かきたみたい。じゃあ、またね!
アンナ
 ――失礼します。王子、いらっしゃいますか。
 間もなく軍議のお時間となりますので
 呼びに参りました……あ、お一人ですか?
 
 てっきりサヨさんもいるのかと思っていたのですが。
 もう帰られた後だったのですね……王子?
 辺りを見回されて、どうされたのですか?
 
 王子? あの……私を見つめても、何もでませんよ?
 ……そ、そんなに見つめられると、
 照れてしまうのですが……
 
 ……も、もう! 一体どうなさったのですか!!
 ……え? もしかしてサヨじゃないか……?
 …………王子、どうやらお疲れのようですね。
 
 ……今回の軍議に関しては、
 欠席との連絡を入れておきます。
 まずは、王子のお身体が最優先です!
 
 今はゆっくりと休まれて下さい。
 王子、お疲れ様でした。
#endregion(30:終了後 (ホーム画面にて))
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#endregion(30:全体)
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#endregion(ネタバレ注意)
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