千年戦争アイギス Wiki

フドウ

そこな異人たち、待たれよ。

アンナ

！？
あ、あなたは……？

フドウ

拙僧はただの修験者よ。
ここで遭うたはただの偶然。

しかし、袖擦り合うも多生の縁よ。
少し、忠告しておこうと思ったまで。

ここから先の城下町には行かぬ方がよい。
……まさに、地獄絵図よ。

アンナ

えっ？　すぐそこに見える、都のことですか？
というか……あなたはその町から？
今、このあたり一帯になにが起きているのですか！？

フドウ

さて、拙僧には関わりなきこと……。

生者を救う術こそ持つが、
死者にはなにもできぬでの。
これにてご免！

アンナ

あ……行ってしまわれました。
なんだか、不思議な方でしたね？

カグヤ

山伏だの？
いわゆる世捨て人の類であるから、俗世の
わたしたちとは関わらぬようにしておるのだろう。

しかし、地獄とは……穏やかではないの？
やはりあの城下町も、もう魔物の手に
落ちているということか……。

アンナ

だからこそ、救わなければなりません！
そうですよね、王子？

とにかく、あの都へと入ってみましょう。
地獄というのは恐ろしいですが……。

アンナ

な……なんということですか！？　これは！！

人が、操られている？
いえ、でも……みなさんの、あの姿は！？

カズハ

せあっ！
……はっ。い、生きている人ですか……？

カグヤ

！！
そなたは……無傷かの？
弓使いか？

カズハ

はい、そうでございます。
あなた方は、旅のお方ですか？
なんというときにこの町を訪れたのでしょう！

この町はもう、さまよう死者たちの根城と
なっているのです。

このカズハは破魔の家系の者でありますから、
最後までこうして残り、戦っておりますが……。

アンナ

死者たち？
で、では、彼ら全員……！？

カズハ

すでに命を失い、操られるだけの存在と化しています。

彼らを解放できるのは、死してなお動き続ける
その心の臓を貫くことです。
それ以外の術はございません。

アンナ

そんな！
で、でも……操られているのでしたら、
何かしら助ける方法があるはずでは？

アイギス様！

アイギス

残念ながら、それは不可能のようです。

アンナ

……！
アイギス様のお力でも、ですか？

アイギス

彼らの肉体はもう、とうに滅んでいるのです。
できることはただ一つ。
その魂を安らかにしてあげることくらいでしょう……。

カグヤ

哀しいが、戦うしかないということだの。
王子っ！

落ち武者

まだ、だ……まだ……！

まだ、死ねぬ……。
姫様が、城に……。

カグヤ

！？　お主たち、まさか！

体は操られていても……。
心は生きていたときのまま、死してなお主君の
ために尽くそうとしておったのか？

ヒカゲ

ああ……なんということでしょう。
それでこそ、我が国の誇り高き侍でございますわ！

しかし、姫というのは……この都の？

カズハ

それはきっと、姫侍シズカ様のことでしょう。

カズハは城仕えではありませんから、
拝謁したことはないのですが……。

侍の身でありながら姫の座につく、
この国初めてのお方なのでございます。

カグヤ

えっ？　シズカなのか？　この都にいるのは！
そうか、ここは東の都であったか！！

アンナ

カグヤ様？　ご存じなのですか？
その、姫侍という方を？

カグヤ

うむ、よく知っておるぞ！
西の京によく遊びにきた、わたしの数少ない友人と
呼べる者の一人だ！

そのシズカの身に、よもやなにか起きておるのか？
……助けにいかねば！！

ヒカゲ

お待ちくださいませ、カグヤ様！

お気持ちはわかります。
ですが……今、あることに気付いたのですわ。
この、池で見つけた印篭なのですが……。

アンナ

あっ。そういえばずっとヒカゲさんが
お持ちになっていたのですね？
あら？　なにか、薄く彫り物が？

カグヤ

！！
この、家紋は！？

ヒカゲ

そうです。よく見ればここに、
家紋が刻まれていましたわ。
これはシズカ様の、将軍家のものでございます！

アンナ

え、ええっ？
ど、どういうことなのですか？

ヒカゲ

はっきりとしたことはわかりませんわ。
しかし少なくとも、あの池に毒をまいたことに、
なにかしら将軍家の者が関わっているとしか……。

どうかご注意くださいませ、姫様！