千年戦争アイギス Wiki

アンナ

――王子の首に、高額の懸賞金がかけられている！？
そ、それは本当なのですか、セブンさん！？

セブン

だーかーら、何度も本当だって言ってるだろ？
ほら、コレがその手配書だってば。

ケイティ

……確かに手配書のようですね。
ですが、これほど高額の懸賞金を一体誰が？

モーティマ

ちょっと俺にも見せろって…………うぉぉおッ！？
なんつー額だ……これなら一生どころかガキの代……
いや、ガキのガキの代まで遊んで暮らせるじゃねーか！

…………グヘヘ。
こんだけありゃあ、あんなことやこんなことも……。

ケイティ

…………モーティマさん。

モーティマ

な、なんだよその目はッ！？
……べ、べべ、別に何も企んじゃいねーよ！
王子をふん縛って取っ捕まえようとか思ってねーし！

アンナ

まぁ、モーティマさんが何を思ったところで、
王子をどうこうできる訳はありませんが……。

何にせよ、この事態を見過ごす訳にはいきません。
魔物討伐の任が終わり次第、
状況を調べる必要がありそうですね。

冒険者

――金髪の女が言ってたのは
確かこの辺りだったよな……お？
あの顔は間違いねぇ、王子たちだ。

悪いな王子。あんたらに恨みはねぇんだが、
俺たちにも事情があってな。

旅の路銀が尽きた今、薬草が尽きるのも
時間の問題。アンタにかけられた多額の懸賞金
見逃すわけにはいかねぇ……。

いいかお前等、王子たちをやれば
もう一生薬草には困らねぇ！　全力で行くぞ！！

冒険者

――く、クソっ、なんてこった、金髪に貰った
薬草は尽きた……旅の袋も空っぽ……
……完全に赤字じゃねーか！　て、撤退だ！

モーティマ

……なんでぇ。威勢だけ立派で
全然たいしたことねぇ連中だったな。

ケイティ

ですがこれで、本当に王子が
狙われていることが証明されましたね。
情報の提供、ありがとうございますセブンさん。

――って、あれ？　セブンさん？

ソーマ

姿が見えませんね。
どこに行ったのでしょうか。

モーティマ

おおかた、その辺で用でも足してんだろ。
アイツ、あんだけカネカネ言ってたんだ。
そのうちひょっこり謝礼金を貰いに戻ってくるさ。

セブン

だ、だれが、そんなことするかってんだよ！
アタシは逃げてった奴等が落とした
金目の物を拾ってたんだよ。

アンナ

セブンさん！？
よかった、急にいなくなったから心配しました。

セブン

心配って……子ども扱いしてんじゃねーぞ！
まあいいや、とりあえずアンタらの根城に案内してくれよ。
謝礼金も貰いたいし、他に話すべきこともあるしな。

アンナ

わかりました。
それでは王子、一度帰還しましょう。

セブン

――ひぃ、ふぅ、みぃ……っと、へへ毎度あり♪
まさかこんなに報酬をもらえるとは思ってなかったぜ。
危ない橋を渡って王子側についた甲斐があったってもんよ。

……わ、分かってるってば！
こんだけ金をもらったんだ。
今回の件について、もっと詳しいことを話してやるよ。

んじゃ、改めての自己紹介だ。アタシの名前はセブン。
まぁこれは属した組織でのコードネームなんだけど、
呼ばれ慣れたもんだからさ。王子もそう呼んでくれよ。

で、王子達に懸賞金をかけたヤツに関してだが、
その正体は、ずいぶん前に壊滅した闇ギルドの残党が
立ち上げた闇の組織の連中たちさ。

その組織っていうのが厄介でよ、事故死したかつての
闇ギルドのトップの遺産とコネを残党が悪用した結果、
昔の闇ギルド以上にヤバイ組織になっちまったんだ。

かつての闇ギルドは、表で生きにくい人達に仕事を
斡旋することを目的としていたはずなんだが、
今の組織の実態はそんな生やさしいもんじゃない……。

強盗、誘拐、殺人……金になる事なら何だって、
平気な顔してやりやがるロクでもない連中の吹き溜まりさ。
昔のギルドの面影なんてこれっぽっちも残ってないよ。

そんな連中に嫌気がさしたから、アタシは
組織を抜けたくて王子達についたってわけ。
あんな組織、ぶっ潰しちまってくれよな。

アタシは面が割れてるから同行はできないけどさ、
組織のアジトの場所は、この紙に書いておいたから。
……ほら、何してんだよ！　さっさと準備して行けって！

――え？　やけに急かすな？　……き、気のせいだろ！
って、んなこと言ってる間にも王子を狙う賞金稼ぎが
来ちまうぞ？　ほーら、急いで急いで！

そんじゃ、頑張ってこいよ、王子！
上手くいくことを祈ってるぜ。

アンナ

ここが、セブンさんの言う
危険な組織のアジトの場所のようですね。
慎重に潜入するとしましょうか――――

山賊A

――おっ！？　ようやく王子ご一行の到着か。
ったく、待ちくたびれたぜぇ！

ケイティ

山賊による待ち伏せ……！？
どうやら、我々の進軍がバレていたようですね。
誰かが、情報を流したのでしょう……。

アンナ

そんな……モーティマさん、信じていたのに……。

モーティマ

……え？　これを、俺が……？
ば、バカ言ってんじゃねぇぞアンナ！
俺は昨日からずっと王子と一緒にいただろうが！

アンナ

では、一体誰が私たちを売ったというのでしょうか……？

セブン

……やれやれ、来るのが遅いんだよ、王子。
ず〜っと出迎えを用意して待ってたってのに、
あまりに遅いから騙したのがバレたのかとヒヤヒヤしたよ。

アンナ

――セブンさん！？
あの、これは一体どういうことですか……？

セブン

……まだ分かんねーのか？
まったく、噂通り、お人好しで
騙されやすい連中ばっかなんだな。

アタシが組織を抜けたなんてウソに決まってるだろ？
……まぁ、王子を倒しさえすれば、
そのウソも本当になるわけなんだが……。

さて、と！　無駄話はおしまいだ！
山賊ども、準備はいいか！
高い金払ってんだ、しっかり仕事しやがれよなー！

山賊A

おうっ！！　野郎ども、やっちまえーーーー！

バシラ

そんな……また、敵の数が増えてます！
王子、これではキリがないですよ〜！

ケイティ

このままでは、状況は悪くなるばかりです！
王子、一度退いて、隊を整えるべきかと！

アンナ

確かにその通りですね……。
王子、撤退の指示をお願いします！

ソーマ

はぁっ……はぁっ……。
ここまで逃げれば、もう大丈夫ですね。
次の角を曲がってそのまま――

闇組織構成員

――おっと、こっちは行き止まりだぜ、嬢ちゃん！

ソーマ

――えッ！？
そんな、は、挟み撃ちだなんて……！

闇組織構成員

クックック、セブンの言った通りだぜ！
ぜーんぶ、アイツの計画通りに事が運んでやがる。

よぉっしお前ぇら！　かかれぇッ！！

セシリー

……むッ！？　あの武器は……まさか！
気をつけろ王子、フードを被った連中が使う武器は
毒性の高い鉱物で作られた、闇ギルド製の武器だ。

傷つけられれば2倍の痛手を負うことになるぞ……！

アンナ

鎧をしっかり身に着けた兵たちに
対処をお願いした方が良さそうですね。
王子、慎重なご采配を！

ケイティ

包囲網が段々と狭められている……。
このままではいずれ、追い詰められてしまいます！

モーティマ

――おい、あそこ見ろよ！
他に比べて敵の守りが薄い……。
あれなら突破できるかもしれねぇぞ！

ケイティ

この包囲網の中、アレ程守りが手薄とは
何やら作為的なものも感じられますが……。

兵士

報告！　前方より敵伏兵が出現したとのこと！
このままでは前線の維持は難しいかと思われます！

アンナ

……どの道のんびり考えている時間はなさそうです。
王子、まずは守りの薄いところを抜け
敵の包囲網を突破しましょう！

ユリアン

おいおい、なんだよこの大量の樽は？！
クソッ、これじゃ仲間と連携がとりづらいじゃねぇか！

セシリー

部隊の分断……どうやらこれが
敵の狙いだったようだな。

セブン

なーにが、敵の狙いだったようだな、だ！
いまさら気づいたって遅すぎんだよーッ！
このまま一気に勝負をつけてやんぜ！

アンナ

――セブンさん！　もうやめてください！
あなたは、本当にこんなことを望んでいるのですか？
組織を抜けたいというのは、嘘だったのですか？

セブン

う、うるせぇぞアンナ！
アンタらには関係ねぇコトだろうがー！
いいから大人しく、アタシに捕まりやがれってんだよ！

（そうさ……王子たちを捕まえれば、
莫大な金が手に入る……そうすれば、
アタシは組織を抜けられるんだ……！）

セシリー

……だめだ。
どうやら、こちらの話を聞く気はなさそうだな。

アンナ

……ここは戦って切り抜けるしかないようですね。
部隊が分断された不利な状況ではありますが、
王子、冷静な判断をお願い致します。

ナイン

ちッ……コイツら思った以上にやりやがる。
おいセブン！　そっちはどうだ？　やったか！？

セブン

うるせーな！　やってたらとっくに報告してらぁっ！
……くっそー、こっちが追い詰めたと思ったのに
王子のやつら、何てしぶとさだ……イライラするぜ！

ケイティ

樽によって、敵側の戦力も分断されたのは幸いでした。
王子が狙いなのであれば、
王子のみに戦力を集中すべきでしたね。

セブン

勝手にこっちのミスを分析してんじゃねーぞ！
くっそぉ……こうなったら逃げるぞ、ナイン！
王子、憶えてやがれーーーっ！

ナイン

お、おい！　待てってば、セブン！
頼むから置いていかないでくれってば！

アンナ

…………なんとか窮地を脱することができましたね。
ですが、王子。セブンさんは、
何やら事情がありそうな様子でしたが……。

セシリー

少し自分の方で探ってみよう。王子に懸賞金を
仕掛けた奴も、見つけないといけないしな。

アンナ

お願いします、セシリーさん。
王子、セシリーさんの調査が終わるまで、
しばらくはここで隊を整えることにしましょう。

セシリー

（――ここだ。組織の連中が
集会に使っている場所は）

（調査によると闇の組織では、構成員は
稼いだ金のほとんどを、組織の上役にピンハネ
されるみたいだ。今日は丁度その上役が現れる日らしい）

ユリアン

（仕事を斡旋するのが組織な以上、
売上をウソつく事もできねぇって訳か……）

セシリー

（懸賞金をかけたのは、その上役で間違いない。
闇の組織は機密性を保つため、少数のグループに分けられ
それぞれが独立して活動するらしいからな）

ケイティ

（あの短時間でこれ程の情報を……流石ですね）

セシリー

（伊達に裏の世界を生きちゃいないさ。
……しっ……おい、アレを見ろ）

？？？

――ナインさん、どうぞ。
これが今月の貴方の取り分です。
ご苦労様です。

ナイン

……まいど……ちっ、これだけかよ。
（命を張って手を汚すのは
いつも俺等構成員だってのによ……）

？？？

次、セブンさん……おや、どうしました。
だいぶ売り上げが少ないようですが。
目標に全く届いてませんよ？

セブン

う、うるさい。こっちも色々あったんだよ。
王子捕獲に高い金出して人雇ったり……そうだ、
組織の為なんだ、経費って事でいいだろ？

？？？

セブンさん、世の中は結果が全てです。
組織を抜けたいのであれば、結果を出して頂かないと。
目標に満たない分、当分タダ働きですね。

セブン

な、冗談だろ？！　おい、待てよ！
待ってくれよ！　おいっ！！

ナイン

……行っちまったな。お前も馬鹿だなぁ、
組織を抜けたいなんて
言わなきゃ良かったのによ。

セブン

……くそっ、何が組織を抜けるには手切れ金だ、
あんな途方もない額、払える訳がないだろ……。
王子捕獲も失敗に終わったし……どうすりゃいんだよ。

アンナ

……事情は大体わかりました。セブンさん、
組織を抜けたいようでしたら私達の所に――

セブン

――お、お前等は？！　……こんな所に
ノコノコ現れるなんて、女神様がいようものなら
感謝するよ！　お前達、敵襲だーーー！

アンナ

せ、セブンさん話を……仕方ありません、
まずは落ち着いてもらう必要がありそうです。
王子、指示をお願いします。

セシリー

……奴らの使う長銃、見慣れないものだな。
お手製となれば、特殊な弾丸が込められている筈だ。
長距離からの狙撃に気をつけた方が良さそうだぞ。

セブン

くっそー！　離せ！
離しやがれってんだよ！

ナイン

くっ、まさか俺まで捕まっちまうとはな。
ドジっちまったぜ。

ケイティ

組織の幹部を二人も捕えられたのは幸運ですね。
尋問によって、組織の内情を
少しでも知る事が出来ればいいのですが……。

セシリー

――ッ！？　待て、ケイティ！
何者かが銃でこっちを狙っている！　伏せろ！

ナイン

――――ぐふァ……ッ…………なん、で…………？
…………………………………………………。

セブン

……お、おい？　ナイン……？　ナインッ！？
……そんな……し、死んでやがる……！？

セシリー

……毒の銃弾を撃たれたようだな。
しかも、狙撃手の姿がもう見えなくなっているとは……。

ケイティ

まだ、近くに潜んでいるかもしれません！
総員、周囲の捜索を！

セブン

（…………場が混乱してる！　い、今のうちだ！）

ソーマ

――あぁッ！！
セブンさんが逃げていきます！
いつの間に縄を……。

アンナ

組織幹部への足掛かりを失うわけにはいきません！
王子、ここはケイティさんに任せて、
私たちは急ぎセブンさんを追いかけましょう！

セブン

――シックス！　おい、聞いてんのかよ！
どうしてナインを殺したんだ！
アタシたち、仲間じゃなかったのかよ！！

シックス

ふふ、仲間を思えばこそですよ、セブンさん。あのまま
組織の事を話されては、皆が危険に晒されますからね。
それに、私のおかげで貴方だって逃げられたでしょう？

セブン

（くそ……あんなにあっさり仲間を殺すなんて。
……ただ組織から逃げたって殺されるだけだ、
王子を捕えて正式に組織を抜けないと……）

アンナ

――見つけましたよ！　セブンさん！
さあ、もう追いかけっこは終わりです！

シックス

おやおや……どうやらつけられていたようですね。
セブンさん、この失態は重いですよ？

セブン

くっ……な、なんだよ、その目は……？
アタシのことも、ナインのように、
殺すって言いてぇのか！？

シックス

ふふ……これからの貴方の頑張り次第ですね、
貴方が王子を殺せば全ては水に流します。
それに、組織を抜ける為の口添えをしてもいいですよ？

セブン

……ずいぶんと気前の良い話じゃねーか？
その言葉、信じていいんだろうな？

シックス

ええ。だって、賭けるチップは貴方の命ですもの。
見返りだって相応のものにすべきでしょう？
さあ、一世一代の大博打、見事勝ってみせなさい。

セブン

殺し、か……。そんなこと、本当はしたくないけど……。
でも、やるしか……やるしか道はないんだよな。
……生きるには、奪うしか……ないんだよな……？

シックス

ええ、そうですとも、セブン。
心配はいりません……私もお手伝いしますよ。
貴方が初めて人を殺す、その大切な手伝いを、ね……フフ。

アンナ

王子！　セブンさんたちが攻めてきます！
ここで、決着をつけましょう！

ケイティ

見事な戦いでした、王子！
おかげで、組織の中心人物と思われる者を
捕縛することに成功しました。

シックス

……おやおや、捕まってしまいましたか。
こういった経験は、なかなかできるものではないですね。

セシリー

……随分と余裕だな。
まさか、逃げられるとでも思っているのか？

シックス

ええ、思っていますとも。
なぜなら、王子を賞金首に仕立て上げたのは
私なのですからね……フフフ。

ケイティ

手配を取り下げる代わりに見逃せと
……そう、言いたいのですか？

シックス

ええ、話が早くて助かります。
さぁ、そちらの政務官はどうでしょうか？

アンナ

……条件があります。

王子の手配取り下げに加え、
セブンさんの組織抜けを許諾し、
今後一切、彼女に関わらないと約束してください。

シックス

殺そうとしたセブンを助けたいとは、殊勝な方々ですね。
いいでしょう。元々大した情報も持たない売人風情、
お好きなように……それでは交渉成立ということで。

ユリアン

王子の手配を取り下げるまでは、
見張りはつけさせてもらうからな。
……おい！　コイツを連れていけ！

兵士

はっ！

セブン

…………なぁ、なんでアタシを助けたんだ？
アンタらに、何か得なことでもあんのかよ？

アンナ

セブンさんのおかげで、首謀者を捕え
手配を取り下げる事が出来ましたから。

……それに何より、王子は困っている
女性を放っておく事は出来ませんので。

セブン

ば、バッカじゃねーの！？　お人好しにも程があんだろ！
いいか、助けて貰ったからって金なんか払わねえからな！
でもまぁ、礼だけは言っておくよ………………ありがとな。

ケイティ

……ふふ、まったく素直じゃありませんね。
王子の懸賞金はなくなり、セブンさんも
組織を抜けられ一件落着と言ったところでしょうか。

アンナ

今夜は安心して眠れそうですね、王子。
それでは、帰還するとしましょう。
王子、本当にお疲れ様でした！